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“試合を決めて来い”と背中を押されて…千金弾のMF豊川「皆を少しでも助けられた」

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[1.22 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選準々決勝 U-23日本 3-0(延長) U-23イラン アブドゥッラー・ビン・ハリーファ・スタジアム]

 駆け引きに勝った男は、ゴール前でフリーになった。スコアレスのまま前後半90分を終えて迎えた延長後半5分、右サイドのDF室屋成(明治大)が左足で送ったクロスは鮮やかな軌道を描いて、ゴール前へと向かってくる。そして、落下地点に飛び込んだのが、途中出場のMF豊川雄太(岡山)だった。

 手倉森誠監督が「スタメンは中島(翔哉)ではなく豊川だった」と明かしたように、前日までの準備では先発予定。本人も「前日練習ではセットプレーも僕しか蹴っていなかったし、主力組で練習していたので、先発かなという思いはありました」と明かす。しかし、試合当日の食事の際に指揮官から「後半途中から行くぞ」と伝えられ、イラン戦はベンチからスタートとなった。

 スコアレスのまま後半を迎えると、ウォーミングアップを繰り返した。「自分の感覚的なもので、残り10分か15分くらいで呼ばれるかなと思っていて、それに合わせてアップをしていました」。そして、後半43分に満を持してピッチへと送り込まれる。「試合を決めてこい」(手倉森監督)と背中を押されて――。

 迎えた延長前半5分、試合の均衡を破る一撃を叩き込む。右サイドでボールを受けたDF室屋成(明治大)が深い切り返しから左足でクロスを送ると、「相手2CBの間にクロスが上がる瞬間にポジションを取った」豊川がフリーでゴール前に走り込む。落ちてくるボールに合わせて宙を舞うと、ヘディングで合わせたシュートはネットを揺らし、価値ある先制ゴールが生まれた。

「ディフェンスとの駆け引きに勝てた」ことでフリーになったが、そこにボールが来なければゴールには結び付かない。だからこそ、「成のボールがすごい精度が高くて良かった」とアシストした室屋への感謝を示すと、「すべてがイメージどおりのゴールでした」と満足気に振り返った。

 ゴールが決まった瞬間、喜びを爆発させた豊川は一目散にベンチへと駆け寄り、歓喜のパフォーマンスを披露する。ダンスを踊っているように見えたが、「あれは踊りじゃないです」と否定すると、「ただ、意味が分からんようになって、変になっちゃったんですよ。興奮し過ぎました」と苦笑した。

 指揮官の期待に応える値千金の先制ゴール。この得点で勢いに乗ったチームは、その後MF中島翔哉(F東京)に2得点が生まれて3-0の快勝を収めた。殊勲の男は「皆を少しでも助けられたかなと思います」と充実の表情を見せた。

(取材・文 折戸岳彦)

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