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「冷静に打てた」2G1Aで4発演出の香川が“俊輔超え”

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[3.29 W杯アジア2次予選 日本5-0シリア 埼玉]

 日本の10番が輝きを放った。MF香川真司(ドルトムント)は2ゴール1アシストを含む4得点に絡む活躍。「チームが勝つことが第一だけど、自分に求められているのは結果。それを出せたことは良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 前半17分、ショートコーナーを受けた香川が左クロスで先制のオウンゴールを誘発。その後もチームとして何度となく決定機をつくった。なかなか2点目が生まれず、じりじりとした展開が続いたが、香川自身は「前半からいいリズムで、流動性を含めて速いスピードでプレーできていた。みんなの勢いを感じたし、点が入るのは時間の問題だと思っていた」と冷静だった。

 そして迎えた後半21分、ゴール前の浮き球をFW本田圭佑がつなぐと、香川が胸トラップから反転して左足でボレーシュート。「うまく冷静に打てた」という華麗な個人技でゴール右隅に突き刺し、待望の追加点を奪った。

「2点目が取れて試合は決まった」。後半41分には左サイドでボールを受けた香川が右足に持ち替えてファーサイドにクロスを送り、本田のヘディングシュートをアシスト。同45分には自身2点目となるダメ押しゴールを決めた。

 この日の2ゴールで国際Aマッチ通算25得点とした香川は、24得点のMF中村俊輔(横浜FM)を一気に抜き、歴代単独8位となった。「自分がリスペクトしている選手の記録を抜けたことはうれしい」。そう率直な感想を口にした香川は同時に「自分はオカちゃん(岡崎)や(本田)圭佑くんみたいに点を取り続けて、結果を残さないといけない立場にある」と満足はしなかった。

 24日のアフガニスタン戦(5-0)はベンチスタートで、中盤をダイヤモンド型にした4-4-2のトップ下で先発したMF清武弘嗣が1ゴール2アシストを含む4得点に絡む活躍を見せた。これには「キヨが結果を出したことは刺激になる」と、ポジションを争うライバルとして危機感も強めていた。

 そして迎えたシリアとの首位攻防戦。2ゴール1アシストを記録し、アフガニスタン戦の清武と同じように4得点を演出した。GK西川周作は「(香川)真司も期待されて、真価が問われると言われていた中でのゴール」と手放しで称える。背番号10の本領発揮だった。

 それでも香川は「クラブで激しい戦いを制さないといけない」と、すぐさま次なる戦いに目を向けた。ドルトムントでの熾烈なポジション争い。「今、自分の立場は厳しいと思っているし、危機感を持って、試合に出たときに結果で証明できるようにしないといけない」と力を込める。

 首位バイエルンを勝ち点5差で追うブンデスリーガ、準決勝まで勝ち残っているDFBポカール、そしてベスト8進出を果たしたヨーロッパリーグ。タイトルを懸けたシーズン終盤へ、「ドルトムントでもこういう結果を求めてやり続けないといけない。この合宿ではいいトレーニングができた。これを所属クラブでも続けたい」と誓った。

(取材・文 西山紘平)

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