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[U-16インターナショナルドリームカップ]競争激化でチーム成長、U-16日本代表がハンガリーを4発撃破!

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[6.22 U-16インターナショナルドリームカップ第1節 U-16日本代表 4-1 U-16ハンガリー代表 鳥取市営]

 日本とハンガリー、マリ、メキシコの4か国のU-16代表チームが優勝を争う「U-16インターナショナルドリームカップ2016 JAPAN Presented by JFA」が22日に鳥取市営サッカー場バードスタジアムで開幕。前回優勝のU-16日本代表はU-16ハンガリー代表と対戦し、FW棚橋尭士(横浜FMユース)の2ゴールなどによって4-1で快勝した。

 9月のAFC U-16選手権インド2016(17年U-17W杯アジア最終予選)まであと3か月。激しい競争の中で成長している日本が快勝で初戦を飾った。4-4-2システムの日本の先発はGKが青木心(JFAアカデミー福島U18)。4バックは右から桂陸人(広島ユース)、菅原由勢(名古屋U18)、監物拓歩(清水ユース)、菊地健太(JFAアカデミー福島U18)。中盤は福岡慎平(京都U-18)と喜田陽(C大阪U-18)のダブルボランチ、右MF久保建英(FC東京U-18)、左MF上月壮一郎(京都U-18)、2トップは中村敬斗(三菱養和SCユース)と棚橋が務めた。

「10分は相手の陣地でやらないと。引っ掛けられて失点する可能性もある。必ず押し込みたい」と森山佳郎監督が口にし、棚橋が「立ち上がりから押し込んで相手をビビらせるという目的がある。迫力をもって行けたし、前半で得点が取れたので良かった」と表情を緩めたように日本は立ち上がりから猛プッシュ。前線からプレスをかけ、喜田や左SB菊地、CB菅原が高い位置で相手の起点を潰し、また監物が186cmの高さを活かして相手の攻撃を跳ね返す。両サイドにスピードのある選手を配置したハンガリーを押し込んだ日本は久保の左足ボレーなどでゴールへ迫る。

 そして前半12分、日本はDFラインでのポゼッションから左オープンスペースへ展開。これを受けた中村がカットインからPAへ繋ぐと、棚橋がGKの位置をよく見てからの左足シュートをゴールへ流し込んだ。会場に集まった2000人の観衆が沸いたファインゴール。幸先良く先制した日本はさらに19分、棚橋の飛び出しから相手のクリアミスを拾った中村が右足のコントロールショットを決めた。23分にも久保の1タッチパスを起点に右サイドを深くえぐった桂のクロスを上月が頭で合わせて3-0。狙い通りに前半で試合の軸を大きく傾けることに成功した。

 ハンガリーは29分、CKのポジション争いで獲得したPKをMFドミニク・ソボスライが右足で決めて1点を返す。それでも日本は前半だけでシュート15本を放つ猛攻。ボールを支配しながら最終ラインの菅原が縦パスを通し、中村、棚橋が仕掛けからポストを叩くシュートを放つなど攻め続ける。日本は後半開始から福岡に代えて平川怜(FC東京U-18)を投入。ハンガリーの球際での守り、カバーリングが安定していたこともあって単独突破やコンビネーションで打開しきれないシーンが増えたが、平川が積極的にボールに絡み、桂が再び右サイドを切れこむなど決定機をつくった。

 15分には中村に代えて宮代大聖(川崎U-18)、23分には桂と喜田、久保を西尾隆矢(C大阪U-15)、成瀬竣平(名古屋U18)、松本凪生(C大阪U-15)へチェンジした。攻めきれずにカウンターを受けるシーンもあったが、33分、35分と立て続けに菅原の好カバーで危ないシーンを阻止。また各選手の意欲が伝わってくるようなディフェンスを見せる日本はハンガリーを試合通してシュート2本に、特に後半はCKもゼロに抑え込んだ。そして上月を桑原海人(福岡U-18)に交代した後のアディショナルタイムには平川の仕掛けから成瀬が左足シュート。ポストを叩いた跳ね返りを棚橋が押し込んでダメ押した。

 今大会はCB瀬古歩夢(C大阪U-18)、CB小林友希(神戸U-18)という主力CB二人が不在。「緊急事態」(森山監督)という状況だが、指揮官が「チャンスを掴んでくれた」と評した監物とこれまで主に右SBを務めていた菅原が見事に穴を埋めた。また激戦区のFWで棚橋が好アピールするなど競争は激化。森山監督が「主力7、8人と次のレベルで差がまだまだある。3、4枚いないと落ちてしまう。サッカーIQ、プレーの質の高い選手を増やさないといけない」という中で、モチベーション高い選手たちが底上げしている印象だ。

 菅原は「ミーティングは明るいけれど、練習に入ると『オレがこのポジション取るんだ』という意欲が伝わりますし、特に攻撃陣のシュート練習なんか見ているといいシュートが決まると普通は『ナイシュー』とか声が上がるんですけど、『オレも決めるから』みたいな雰囲気が伝わってきていい競争になっていると思います」。各選手が代表に戻ってくるたびにレベルアップして努力を示している。そして代表のトレーニングでその成長ぶりを披露しあう「00ジャパン」。指揮官からもそのシュート威力の成長について賞賛されていた中村は「ボクも刺激をみんなに与えていると思うし、みんなもボクに刺激を与えている。ボクはシュート。すごいトレーニングしています」。互いが高め合っていい相乗効果を生み出している。

 中村が「チームとしては絶対に優勝。個人的には得点王を狙っていきたい」と語ったように今大会の目標は優勝。そしてアジア予選に繋がる戦いをする。「最終予選を突破して出場権を確定するだけではなくて、U-23代表の方も達成したように優勝を達成したい」(菅原)というように、今秋に世界切符を獲得するだけでなく、アジアを獲るための準備をする。

[写真]前半19分、U-16日本代表は中村が右足でゴール

(取材・文 吉田太郎)

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