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[国際ユースサッカーin新潟]甘さ、課題あったU-17日本代表、堀同点FKもクロアチアとドロー

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[7.17 国際ユースサッカーin新潟第2節 U-17日本代表 1-1 U-17クロアチア代表 スポアイランド聖籠]

 日本、メキシコ、クロアチアのU-17代表チームとU-17新潟選抜が総当りのリーグ戦で優勝を争う「第20回国際ユースサッカーin新潟」は17日、第2節を行った。初戦でメキシコに2-0で勝ったU-17日本代表は、同じく初戦勝利のクロアチアと対戦。0-1の前半21分にMF堀研太(横浜FMユース)が2試合連続ゴールとなる直接FKを決めて同点に追いついたが、最後まで勝ち越すことができず、1-1で引き分けた。U-17日本代表は大会最終日の18日、U-17新潟選抜と戦う。

 試合終了の笛が鳴り響くと、会場にはどこかやり切れない空気感が残った。後半、日本はボールを支配して攻め続けていたものの、勝ち越し点が奪えず。クロアチアは難攻不落の相手ではない印象だったが、山口素弘監督が「上手く“殺された」と表現したように、日本は良さを出しきれなかった。自陣PAで構えて守る相手の術中にハマり、ショートコンビネーションで強引に破りに行ったところを奪われてカウンターで押し戻されてしまう。ボールを持てていたが故に攻め急いだ部分もあった。そしてゴール前でクロアチアのCBを上回るまでの迫力も無かった。局面での攻防で劣勢となった日本は逆にクロスまで持ち込まれてピンチを迎えるなど、悔しい内容のドロー。主将のCB中川創(柏U-18)は「ゴール前でもっと良い形出さないといけないとか、守備も自分たちからもっと迫力持たせてやらなければいけなかったんですけど、ゲーム通してそんなに自分たちの良さが出せなかった」と唇を噛んだ。

 日本はメキシコ戦から先発4人をチェンジ。4-4-2システムのGKは猿田遥己(柏U-18)で4バックは右SB石原広教(湘南ユース)、CB中川、CB青山夕祐(名古屋U18)、左SB藤松航矢(鳥栖U-18)。中盤は井澤春輝(浦和ユース)と村田聖樹(川崎F U-18)のダブルボランチで右MF堀研太(横浜FMユース)、左MF藤本寛也(東京Vユース)。2トップは田川亨介(鳥栖U-18)と中島元彦(C大阪U-18)が務めた。

 猿田、青山、藤松、村田が今大会初先発。連勝を目指した日本だが、ハートの部分含めて厳しく指摘されるゲームとなった。試合前、ハーフタイム、そして試合後、山口監督からは厳しい言葉が何度も飛んでいた。「日の丸つける意味を考えろ」。試合前から緩みがあったことについては選手たち自身も感じ取っていたが、それを変えられなかった。指揮官から「緩んでいるぞ。どこかに隙がある」と指摘されて臨んだ一戦は、開始4分に背後を取られてFWミシェル・シェゴ(ハイデュク・スプリト)に先制点を献上してしまう。

 田川は「試合の前から、監督からも『気が緩んでる』って言われていた。円陣の時にしっかり入ろうと言ったんですけど甘かったです」。その後も押し込まれた日本はなかなかボールを前進させることができない。縦パスが通らず、アタックする回数を増やせないまま試合が進んだ。それでも21分、ボールの無い位置での攻防でファウルを受けた中島がFKを獲得。右中間、PA角の後方から堀が左足で狙ったFKはクロアチアの高い壁をゆっくりと越えてゴール右上隅へ吸い込まれた。1-1。追いついた日本はサイドのスペースを突く田川や中島を起点にクロアチアを押し込み、右CKのこぼれを藤本が右足で狙うシーンもあったが、攻撃のテンポを上げたところでインターセプトされるなど畳み掛けることができない。

 山口監督の檄を受けて迎えた後半ものらりくらりと戦うクロアチア相手に日本のギアはなかなか上がらなかった。9分には藤本に代えてMF椿直起(横浜FMユース)を投入。その椿が左サイドでミスを怖れずにダイナミックな突破を見せ、また相手の懐へ入り込む動きを見せた村田からチャンスが生まれるシーンもあった。26分には持ち込んだ田川のシュートのこぼれを中島が合わせようとするが、DFにカバーされて決め切ることができない。

 日本は中川や石原が相手の突破を食い止め、猿田がクロスを的確に処理するなど失点を重ねることはなかったが、遠い1点。31分には藤松と井澤に代えてDF入間川景太(甲府U-18)とMF小林真鷹(FC東京U-18)を同時投入。そして両サイドから相手を押し込んでいた44分には村田に代えてMF渡井理己(静岡学園高)を送り出した。48分には左サイドへポジションを移した青山の突破からチャンスを迎え、49分には右CKのこぼれを渡井が右足で狙ったが、相手GKの好守にあうなどスコアを動かすことはできなかった。

 中川は「自分たちが乗り始めるとクロアチアはテンポ掴んできてやり辛さは本当にありました。チーム全員が前半はもったいないなと本当に感じたと思う。自分も含めて前半の分、取り戻さないといけないと思って締めたつもりですけど、緩みは残っていたと思います。もっとチームの流れが良くなるように良い声がけをしていきたいと思います」。力を出し切ることができず、精度、球際の攻防、気迫の部分含めて甘さ、課題の方が目立ったクロアチア戦。4年後の東京五輪、23歳で迎える6年後のW杯などで活躍を目指す選手たちにとっては学ぶことの多い試合となった。世界の同年代で活躍している選手たちに追いつくためにはこれまで以上の意識、取り組みが必要。「そうなりたいというのをいろいろ意識している選手はいるけれど、いつも続けないといけない」(山口監督)。

 今大会は残り1試合。8月に行われるチェコ遠征メンバーは今回未招集の選手たち含めた競争となる。堀は「(昨年の)ドリームカップ、広島(国際)、(今年の)サニックス(国際ユース)。僕ら結果出している代だと思うんですけど、ここでも結果残して、チェコは自分でも行きたいと思っているので、明日全員で勝って終わりたいと思います。個人としても、チームとしても成長して終われればいい」。評価されて選ばれた18人だが、メキシコ戦含めてまだ実力を出し切ることはできていない。この日学んだことを最終戦で発揮して、連覇を果たして大会を終える。

[写真]前半21分、U-17日本代表は堀の左足FKで同点に追いついたが・・・

(取材・文 吉田太郎)

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