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[SBS杯]“消極的”の声消し去る80分間、静岡ユースがU-19日本代表撃破!

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[8.12 SBS杯国際ユース第2日 静岡ユース 1-1(PK4-2)U-19日本代表 愛鷹]

 静岡ユースにとっては意地の勝利だった。前日のU-19スロバキア戦は5バックを形成して守りを固める守備的な戦術で挑戦。DF下口稚葉(JFAアカデミー福島U18)、DF立田悠悟(清水ユース)、DF森岡陸(磐田U-18)を中心にゴールを守り、また後半にGK山ノ井拓己(静岡学園高)がビッグセーブを見せるなど「プラン通り」(廿日岩亮監督)の守りで80分間相手を封じ込んだ。だが、攻撃面では慌てて攻めてボールを失うシーンが多く、スコアレスのまま後半終了。PK戦で敗れる結果となった。

 大会前は周囲から結果を求める声が大きかったというだけに、PK戦での敗戦ながらも、もぎ取った勝ち点1はチームにとってひとつの成果だった。だが、試合後に聞かれたのは「静岡らしくない」「チャンレンジしていない」の声。評価を得ることはできなかった。その静岡はU-19日本代表との第2戦は「色々な戦い方を経験する」というプランもあって、4-2-3-1の攻撃的なシステムに変更。前からのアグレッシブな攻守で同世代の代表チームを苦しめた。

 GK水谷駿介(清水ユース)のファインセーブや立田が身体を張ったディフェンスでゴールを守った一方、攻撃面ではMF清水颯人(JFAアカデミー福島U18)や下口、MF青野鷹斗(富士市立高)らが相手のライン間のスペースを活用してボールを動かし、MF久米皓次郎(磐田東高)やFW遠野大弥(藤枝明誠高)がアイディアある仕掛けを見せてチャンスも。前半34分には右SB梅村豪(清水ユース)と右MF望月陸(清水ユース)のコンビで右サイドを崩し、望月のクロスから左MF石田滝人(富士市立高)が連続シュートを放つと、最後は遠野が押し込んで先制点を奪った。

「戦える姿勢を出せたんで相手も嫌だったと思う」と山ノ井が振り返り、U-19日本代表からも「静岡の方がアグレッシブだった」(内山篤監督)と認められる戦いを見せた静岡は、後半もミスを怖れない攻守。そして、相手のミスに乗じた攻撃から2点目のチャンスをつくる。U-19日本代表GK廣末陸(青森山田高)の好守に阻まれるなど2点目を奪うことができなかったが、守備面では相手にサイドのスペースを突かれながらもゴール前で森岡や石田がカバーして失点の危機を免れた。DFの人数を増やして試合を締めに行った終盤の残り1分で追いつかれたが、PK戦で山ノ井が相手1人目をストップ。2人目も失敗した日本に対して静岡は4人連続で成功して白星を勝ち取った。

 廿日岩監督は「80分間で勝ちきれなかったことは残念」と語ったが、試合を通して積極的なプレーを貫いて得た白星を評価。静岡らしくテクニカルな部分を十分に発揮しきれた訳ではないが、選手たちにとっては周囲の声をかき消す意地の勝利となった。“格上”U-19代表を撃破した静岡は最終戦でU-19コスタリカ代表と戦う。直前に行われる現在首位のU-19スロバキア代表対U-19日本代表戦で日本が勝利すれば、静岡に逆転優勝の可能性が出てくる。山ノ井は「優勝したいですね」。最終戦も勝利し、頂点に立って地元を盛り上げる。

[写真]前半34分、静岡ユースは遠野(16番)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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