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[プリンスリーグ北信越]プレミア復帰、逆転Vへ!“日本一ユニ”まとう富山一が北越撃破!

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前半35分、富山一はFW大竹(16番)のゴールで勝ち越し

[9.22 高円宮杯プリンスリーグ北信越第17節 富山一高 3-1 北越高 長岡市ニュータウン運動公園サッカー場]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ北信越は22日、第17節を行った。首位・新潟明訓高を勝ち点2差で追う富山一高(富山)は北越高(新潟)と対戦。3-1で勝った富山一は25日の最終節(富山一高G)で逆転優勝を懸けて新潟明訓と直接対決する。

 プレミア復帰を狙う富山一が、最終決戦を戦う権利を手にした。敗れれば、新潟明訓の優勝が決まり、自分たちも4位へ後退する可能性もあった第17節。加えて、この日は俊足FW本村比呂(3年)が累積警告のために出場停止だったが、富山一は勝ち点3をもぎ取り、プレミアリーグ参入戦進出圏内の2位へ浮上した。

 まずは前半7分、富山一は左サイドを突いたMF窪喜啓太(3年)の折り返しのこぼれをMF中田幹也(3年)が左足ダイレクトで撃ち抜く。その中田は蹴った瞬間にもう手応え十分の笑み。「インパクトを意識してやったんで入って良かったです。ニアが空いとって、(前方に)スペースがあった。叩きつけるのが難しかったんですけど、上手く抑えられた」という一撃は弾丸ライナーでゴール左隅へ突き刺さった。

 幸先良く先制した富山一はその後もMF尾山拓光(3年)のボール奪取などからショートカウンター、サイド攻撃、そして複数擁しているプレースキッカーのキックを活かしたセットプレーからもゴールに迫る。右のエースMF久保佳哉主将(3年)が得意の“裏街道”でサイドを破り、深く切れ込んでからのラストパスなどでチャンスを演出。また、速さと高さを備えたFW大竹将吾(2年)が相手の背後を取って決定機を迎える。一方、前節に首位・新潟明訓を破っている北越は最終ラインから大胆なパスワークにチャレンジ。東京学芸大出身、就任2年目の荒瀬陽介監督が「個は面白いと思います。あとは(選手権へ向けて)チームとしてまとまってくれば」という北越はU-17日本代表CB山田洸太主将(3年)とCB内藤琉希(3年)が相手のプレッシャーに全く怯まずに中盤へ縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れる。そして彼らはハイサイドへの正確なキックも使い分けて攻撃をコントロール。10分には右サイドでDFと上手く入れ替わった1年生MF小林心が決定機をつくり出すと、26分には左SB土田亘彦(2年)の素晴らしい左足ミドルが右ポストを叩いた。

 その直後、DFの間、間へとパスを通した北越はMF高月創太(1年)のスルーパスから小林が右足シュートをゴールへ流し込んだ。この日、好守を連発していたGK宮内大輔(2年)や山田の身体能力を活かして粘り強く守った北越が好機を逃さず、同点に追いついた。富山一は31分、窪喜のアイディアあるスルーパスから大竹が独走。GKをかわしながら放ったシュートは右ポストのわずか右へ外れてしまったが、初先発の2年生FWは直後に結果を残す。35分、富山一は相手GKのフィードを跳ね返すと、DFの背後でボールを拾った大竹が再び抜け出す。追走するDFのランニングコースを上手く防ぎながらボールを運んだ大竹が右足シュートを流し込んで2-1とした。

 富山一は43分にも久保佳の突破から窪喜がクロスバー直撃の左足シュート。決定機を連発していたものの、わずかのところで決めきれないシーンが続き、1点のリードのみで45分間を終えてしまう。大塚一朗監督も「まだまだ完成度というか、(13年度の選手権で全国)優勝した時に比べたらほうぼうに甘さがあって。キチッと決めるところとか、判断してやるところとかもうちょっと出てこないと厳しい試合では勝てない」と指摘する。一方の北越は後半開始から内藤をボランチに上げると、俊敏なFW山口海斗(3年)や小林の存在が脅威に。6分に相手の連係の遅れを突いた山口が決定的なループシュートを放ち、8分にも山口が反転から強烈な一撃を見舞う。富山一は16分にもDFと入れ替わった山口に決定的なシュートを浴び、ここから連続シュートを放たれたが、GK久保一成(2年)やCB塩谷紘生、CB松本楓大(2年)を中心とした守備陣が懸命に身体を投げ出してゴールを許さない。課題も散見したが、中田が「そういう(身体を投げ出して守る)ところも一高の大事な、ストロングポイントだと思うので出せて良かったです」と振り返ったように、持ち味も随所に出てリードを守った富山一は逆に後半33分、交代出場のFW坪井清志郎(2年)がダメ押し点を奪った。大塚監督も認める、マジメな3年生とタレント豊富な2年生たち。その中で2年生は前節、交代出場の大竹が同点ゴールを決め、この日は坪井が貴重なゴールを奪って勝敗の行方を決定づけた。


 富山一は11年に開幕した高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグのオリジナルメンバー20チームのうちの一つ。地元・富山の選手たちを中心とした高体連チームが11年、12年、13年と格上のJユース勢から勝ち点を重ねて見事3年連続で残留を勝ち取った。だが14年に得失点差で9位、プリンスリーグ降格を経験してしまう。そして昨年のプリンスリーグでは最終節の敗戦によってプレミアリーグ参入戦進出圏内の2位から3位へ後退し、プレミア復帰の道を閉ざされてしまった。それだけに、選手たちの今年に懸ける思いは強い。久保佳は「きょう勝ったんですけど、次明訓戦があるんで。去年は最後自分も出ていたんですけど、アルビ(レックス新潟U-18)に負けて参入戦に行けなかったので、今年は勝って参入戦に行きたい」と力を込めた。

 チームは前節からユニフォームを13年度の全国高校選手権で優勝した際のデザインに戻したという。それまでは全国8強入りした昨年度選手権時のデザインのユニフォームだったが、より勝ちたいという思いを久保佳が「(着るとより)違いますね。気持ちは強いです」という優勝ユニフォームに込めることに。今年は総体予選こそまさかの県準々決勝敗退を喫したが、プレミアリーグ勢との練習試合でも勝利するなど元々力はある。全国制覇を見て入学してきた現3年生たちは意識も高い。中田は「絶対に勝てるようにいい準備して臨みたいです。後輩にプレミア経験させたい」。新潟明訓戦を引き分け以下で終えると、優勝を逃すと同時に、下位との対戦を残す3位・帝京長岡高、4位・星稜高に逆転を許してしまう可能性が高い。それだけに勝つしか無い富山一。選手権へ弾みをつけるためにも、ホームグラウンドでの決戦で逆転優勝を成し遂げる。

(取材・文 吉田太郎)
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