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[国体少年男子]後半アディショナルタイムにFW西村が劇的V弾!走り、流れ変えた北海道が静岡県撃破!

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決勝点を決めた北海道FW西村。(写真協力 高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子1回戦 静岡県 0-1 北海道 遠野運動公園陸上競技場]

 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」サッカー競技少年男子の部1回戦が2日に行われ、優勝20回の静岡県と95年大会以来の4強、それ以上を狙う北海道との戦いは後半アディショナルタイムにFW西村歩夢(旭川実高1年)が決めた決勝点によって、1-0で北海道が勝った。

 シュート数はともに計12本。特に後半終盤はオープンな打ち合いとなった。その中でより決定機をつくり出していたのは前半のシュート1本から大きくその数を伸ばしていた北海道の方。30分に右SB船戸一輝(札幌U-18、1年)のクロスからMF飯野敬太(旭川実高1年)が放ったヘディングシュートがクロスバーを叩き、32分にはこぼれ球に反応した西村の左足シュートがゴールを脅かす。

 そして迎えた後半アディショナルタイム、北海道は左FKを得ると主将のMF中村友哉(札幌U-18、1年)がMF本間洋平(札幌U-15、中学3年)とのコンビでポイントからわずかにボールをずらして右足クロス。これを「あそこは今回の合宿でずっと練習していた形だった。最後だったので死ぬ気であそこ決めようと思っていたので、思い切り入っていっていいゴールを決めることができました」という西村が頭で押し込んで劇的な決勝点を奪った。
 
 一度バックスタンド方向へ走り出そうとした西村は引き返してベンチの仲間たちの下へ。殊勲の西村は「得点決めた後はみんなで喜ぼうと言っていたのを思い出して(微笑)。そっちに切り替えました。(旭川実のスタッフからは)絶対に勝って結果残して来いと言われていた。コーチからは『選手権もあるんで国体で結果を残して来い』と言われていた。絶対に自分が決めて勝利に貢献しようと思っていた。それを実行できたので良かったと思います」と笑顔で自身が決めた決勝点と、勝利を喜んでいた。

 前半は静岡に主導権を握られる展開だった。主将のMF清水綾馬(静岡学園高1年)やMF佐藤大雅(磐田U-18、1年)を中心にボールを動かす静岡はアタッキングゾーンでは個性派アタッカーたちによる仕掛けの連続。存在感を示したFW水野颯太(常葉学園橘高1年)や齊藤聖七(清水ユース、1年)が次々とドリブルで仕掛けてシュートまで持ち込んでいく。だが、GK前川廉(札幌U-18、1年)の好セーブなどによって耐える時間で失点しなかった北海道は前半の終盤から徐々に自分たちの良さを発揮していく。

 守備をコンパクトに、またマイボールの時間を増やした北海道はボールを奪ってから逆サイドのスペースを効果的に突く攻撃でシュートシーンを増やしていった。中村やMF山保璃空(札幌U-18、1年)を中心にボールを保持する時間を増やしたことで静岡の体力を削ることにも成功。加えて、何より光ったのは左SB福田心之助(札幌U-18、1年)を筆頭に右SB船戸一輝(札幌U-18、1年)や山保が前線を追い越してゴール前に入っていく動きだった。石尾浩一監督(旭川東高)も「共通理解のところで(直前に)トレーニングマッチをやった時よりも迫力が出ていた」と評していたが、相手を置き去りにしてサイドを駆け上がった福田らのスピード、ハードワークが静岡にダメージを負わせていた。

 静岡も簡単には引き下がらない。齊藤のカットインからのシュートや水野のDF2人を振り切る動きなどから決定機を連発したが、石尾監督が「後ろの4枚が耐えるところはトレーニングからやっていたので最後の最後で粘れたところもあったのかなと思っています」と評した北海道DF陣は最後のところで身体を寄せたり、足に当てたりしてシュートの威力を殺していた。静岡はGK梅田透吾(清水ユース、1年)の再三に渡るビッグセーブや右SB鈴木海仁(磐田U-18、1年)の対人の強さなどが光っていたものの、注目エースFW塩浜遼(静岡学園高1年)が厳しいチェックを受ける中で最後まで1点を奪えず。特にアタッカー陣の果敢に仕掛けていく姿勢は相手の脅威にもなっていたが、終了間際の痛恨の失点によって初戦敗退となった。

 北海道の石尾監督は「選手たちには“発表会”じゃないと言っているので。最後の笛が鳴った時に勝っているかが大事なので、いいプレーして終わりじゃいけない、と。粘り強くやった結果、最後ゴールが待っていたのかなと思います」と選手たちの奮闘に目を細めていた。主将のMF井川空(札幌U-18、2年)やDF池田蓮(札幌U-18、1年)という中心選手がケガのために今大会を欠場。苦しい陣容となったが、中村が「(井川から)全員のLINEにしっかり勝って来いよと。みんなの気持ちが強く、キャプテンのためにというのもあった」と説明したように、不参加となったチームメートへの思いがまた選手たちの力となった。西村は「一つでも多く勝って歴史に名を残せるようになりたいです」と力を込め、福田は「自分たちは北海道を代表して来ている。来れなかった人もいるので、その人達の思いも背負って優勝したい」と誓った。2回戦の対戦相手は強豪・東京都。北の戦士たちが激戦ブロックを勝ち抜いて目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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