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「自然と出た」蛍の涙…号泣する盟友には「曜一朗は背負ってきたものの大きさが違う」

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J1昇格に涙したMF山口蛍(左)とFW柿谷曜一朗

[12.4 J1昇格プレーオフ決勝 C大阪1-0岡山 金鳥スタ]

 ピッチに膝をつき、顔を覆った。溢れ出る感情を抑えることはできなかった。「ホッとする気持ちしかなかった。(涙は)自然と出た」。セレッソ大阪のMF山口蛍は3年ぶりのJ1復帰が決まった瞬間の感情をそう振り返った。

「(J1に)昇格できなければ帰ってきた意味がない。それぐらいの気持ちでこの半年間やってきた。苦しい時期も長かったけど、実りある1年になったと思う」

 14年、キャプテンに就任しながらチームはJ2降格。1年でのJ1復帰を目指した昨季はJ2で4位に終わり、J1昇格プレーオフ決勝で福岡の前に屈し、1年でのJ1復帰を果たせなかった。昨オフにはブンデスリーガのハノーファーへ完全移籍。しかし、3月の代表戦で鼻骨骨折および左眼窩底骨折などの重傷を負った影響もあり、わずか6試合の出場にとどまり、6月にC大阪復帰を決断した。

 わずか半年でのJ復帰には日本代表のハリルホジッチ監督が「うれしくない」と不満を漏らすほどだったが、J2の舞台で奮闘を続け、同時に日本代表でもあらためて存在感を発揮。「代表チームでやっているときのプレーの変化はすごい感じている」と、どんな環境であれ、努力と意識次第で成長していける実感も持っていた。

 試合後のピッチではFW柿谷曜一朗もピッチに仰向けに倒れ込み、両手で顔を覆っていた。人目もはばからず号泣する盟友に「(柿谷)曜一朗は背負ってきたものの大きさが違う」と、その胸中を代弁した。今季、スイスのバーゼルから1年半ぶりに復帰しながらケガに苦しんだキャプテン。2人にとって、J1復帰は最大かつ最低限の使命だった。

「ホッとしているけど、ここは始まりでしかない。1年で(J2に)戻ってこないようにしないといけないし、それだけのチーム作りをしていかないといけない。今日の勝利をきっかけに、J1で上位を争っていたころのセレッソを取り戻したい」。あくまでスタートライン。J1復帰に満足することなく、悲願のタイトル獲得を目指して次なる一歩を踏み出す。

(取材・文 西山紘平)
●2016 J1昇格プレーオフ

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