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タビナス×茂木 “俊輔超え”誓う桐光学園のプロ内定2選手対談

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桐光学園のDFタビナス・ジェファーソン(右)とGK茂木秀

 高校サッカー界の日本一を決める「全国高校サッカー選手権大会」が、間もなく幕を開ける。

 優勝候補の一角に挙げられる桐光学園高(神奈川)の中核を担うのは、高校卒業後、プロの世界に進む2人の逸材。攻撃的左SBとして今大会屈指のタレントと評されるタビナス・ジェファーソン(川崎F内定)と、194cmの利を活かしたダイナミックなセーブが魅力のGK茂木秀(C大阪内定)に、大会開幕を目前に控えたチームの状況と意気込み、さらにサッカー選手としての未来について話を聞いた。

「グループで戦うチーム」において際立つ強烈な2つの“個”は、中村俊輔を擁して準優勝に輝いた第75回大会の記録を塗り替えられるか。命運は、彼ら2人のパフォーマンスに懸かっている。

―いよいよ冬の全国高校サッカー選手権大会が迫ってきました。チームの調子はいかがですか?
タビナス:「もっと準備しなきゃいけない、細かいところを突き詰めなきゃいけないと感じています。直前なので、緊張感も増してきました」

―1回戦の相手は、長崎総科大附高(長崎)。プリンスリーグ九州を制した強豪です。
タビナス:「『1回戦から難しい相手』とよく言われるのですが、相手のことはあまり意識していません。僕らはただ、どこが相手でも勝ちたいだけ。とにかく、めちゃくちゃ勝ちたいです」

―桐光学園高は優勝候補の一角に挙げられています。その手応えは?
茂木:「もちろん、日本一になりたいという気持ちはあります。でも、最初からトーナメントの頂上を見据えるのではなく、『一つひとつ』という気持ちで戦いたい……でも、やっぱり優勝したいですけど(笑)」

タビナス:「うん、めちゃくちゃ優勝したい。ただ、この大会には独特の難しさがあると思うんです。昨年の青森山田戦(3回戦、2-2で突入したPK戦で敗北)では、会場の雰囲気にのまれてしまって2点のリードを守り切れませんでした。あの反省を、しっかりと生かさないといけないと思います」

―神奈川県予選を振り返ると、決勝の相洋戦は延長戦にもつれる難しい展開でした。
タビナス:「すごく厳しい試合でした。簡単に試合が決まるとは思っていなかったんですけど、自分たちとしては延長戦までもつれるとは思っていませんでした。しっかり90分で試合を決めるためのトレーニングをしてきたので、できればそうしたかった。チーム全体としては焦ってしまった部分もありましたけど、自分たち守備陣が相手をゼロに抑えれば絶対に勝てると思っていたので、それに集中していました」

茂木:「僕も、自分たち守備陣が守り続ければ、最後は前線の選手が決めてくれると信じていました。だから、僕自身は焦ることなく最後まで集中することができたと思います」

タビナス:「自分たちの課題も、逆に積み上げてきたチーム力も感じた試合だったと思います」

―小川航基選手(現磐田)を擁しながら3回戦で敗れてしまった昨年のチームと比較して、今年はどんなチーム?
タビナス:「昨年は“個”に特長があるチームだったのですが、今年は“グループ”の強さがあるチームです。基本的な技術は高いけど、ズバ抜けた特長を持った選手はいません。自分たちには特別な“個”がないということを理解しているし、“グループ”で戦わないと勝てない。だから、全員のレベルを上げて、グループで相手を崩すことをずっと練習してきたつもりです」

茂木:「ポジティブに考えれば、『全員がうまい』と言えると思います。去年は小川くんや(イサカ)ゼインくん(現桐蔭横浜大)のように“個”で局面を打開できる選手がいました。今年のチームにああいう選手はいないけど、『一人ひとりがうまい』と言える気がします」

―ところで、そんなチームの中核を担う2人は仲がいい?
タビナス:「いや、良くないです」

茂木:「ハハハ(笑)」

タビナス:「試合中はケンカばっかり。今日の練習だって、パススピードが遅すぎ!」

茂木:「おまえはシュート外しすぎ!」

タビナス:「ほら、ケンカばっかり(笑)」

茂木:「(笑)。ただ、ジェフは“個がないチーム”における唯一の“個”なので、頼りにしています。キャプテンらしくはないけど、それも今年のチームには合っている気がするので」

タビナス:「試合中はお互いに文句も言うけど、やっぱり頼りになることは間違いないですね。とにかくデカいので、ハイボールに対する絶対的な安心感もあるし」

―身長194cmの茂木選手は、ゴール前に立つだけで存在感が際立ちます。
茂木:「小学生の頃はそれほど大きくなかったんです。一気に背が伸びたのは中学生の頃。実は小学生の頃は野球をやっていたのですが、肩をケガしてしまって、中学1年から地元のサッカークラブに入りました。もともとサッカーが好きだったし、GKならセレクションなしでチームに入れるということだったんです」

―タビナス選手は、いつからSBに?
タビナス:「中学時代はCBでした。中学3年で桐光学園の練習に参加させてもらった時に、紅白戦で初めて左SBをやったんです。その時にすごく調子が良くて、それからずっとSB。CBの時からボールにたくさん触って攻撃に絡むことが好きだったので、SBは自分に合っていると思います」

―ちなみに2人も大舞台に強いタイプ? ひょっとして、目立ちたがり?
2人:「(黙ってうなずく)」

タビナス:「ただ、小さい頃から調子に乗ってしまうタイプなので、“いらないプレー”をしないようにしいないと」

茂木:「僕にはそんな余裕はありません(笑)。でも、大きな舞台のほうがモチベーションが上がるし、やっぱり、お客さんがたくさんいたほうが気持ち良くプレーできる気がします」

―そういう意味では、卒業後に進むプロの世界も楽しみですね。タビナス選手は川崎フロンターレ、茂木選手はセレッソ大阪への加入が内定しています。
タビナス:「ずっとプロサッカー選手になりたいと思っていたので、ワクワクしています。でも、その反面、次は自分が喜びや感動を与える側になるので、もっともっとやらなきゃいけないと思います」

茂木:「僕も桐光学園に入った時からプロになることを目標にしてきたので、それを実現できたことが嬉しいです。ただ、やっぱりここからが勝負だと思うし、厳しい世界であることは間違いないので、覚悟をもって頑張らなきゃいけないですよね」

―プロの世界で戦うことに対する「怖さ」はありませんか?
タビナス:「いや、そういう部分は考えないというか、逆に楽しみな部分だけを見るようにしています。とにかく、すごく楽しみだし、本当にワクワクしています」

茂木:「僕も怖さは感じません。今からそれを気にしているようでは、やっていけないと思うので。『成長したい』という気持ちでいっぱいです」

―2人は2020年の東京五輪世代でもあります。
茂木:「やっぱり、目指さなきゃいけない場所だという思いはあります」

タビナス:「僕も同じ気持ちです。今はフィリピン国籍なんですが、東京育ちなので、いつか帰化して日本代表として東京五輪に出たいという思いは強い」

―では最後に、改めて高校サッカー選手権に懸ける意気込みを。
タビナス:「高校生活3年の集大成なので、やっぱり、一番大切な大会です。優勝することが最大の目標。そのために1戦1戦をしっかり戦って、自分としてはチームを勝たせるプレーをしたいと思います」

茂木:「去年の大会はああいう形で負けてしまって、対戦相手の青森山田のGKが廣末選手(陸、U-19日本代表/FC東京内定)だったので、今年は同じ舞台で借りを返したいです。この大会ではいろいろな経験ができると思うので、自分も大きく成長したい。神奈川県代表で優勝したチームはないし、桐光学園の最高記録は中村俊輔さんがいたチームの準優勝。チームの勝利に貢献して、その記録を塗り替えたいです」

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(取材協力 ナイキジャパン)

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