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[MOM1999]聖和学園MF藤井僚哉(3年)_チーム救った「スタメンだったら一番下手」な男

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1ゴール1アシストの活躍でチームを勝利に導いた聖和学園高(宮城)MF藤井僚哉(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 聖和学園2-0海星 駒場]

 右足から放たれたボールが鮮やかにネットを揺らす。苦しむチームに値千金の先制点をもたらした聖和学園高(宮城)MF藤井僚哉(3年)はゴールが決まると、「とても気持ちが良かった。最高だった」と喜びを爆発させた。

 ボールを持てば、まずは仕掛ける。持ち味を発揮して相手ゴールに迫ろうとした聖和学園だったが、対策を講じてきた海星高(三重)の守備に苦しめられる。「相手のチェックが厳しかったし、中盤でガッツリつぶされている部分があった。片岡くん(MF片岡潤也)とも話していたけど、『めっちゃ、研究されている』と感じた」。ボランチの位置からボールを運ぼうとする藤井も、幾度となく相手守備の網に捕まった。

 しかし、後半に入ると海星の運動量が徐々に落ち、途中交代のMF西堀駿太(3年)が裏への動きを繰り返すと、中盤にスペースが生まれ始める。そこを藤井は見逃さなかった。後半35分、左サイドでFW大八木隆斗がボールを保持すると、前線のスペースへと駆け上がってパスを呼び込む。「相手をかわしたら打つイメージがあった」と寄せてくる相手選手をかわしてコースを生み出すと、「ああいうパターンは日頃の練習でもよくやっている」と右足のシュートでゴールを陥れ、チームに先制点をもたらした。

 さらに後半38分には、鋭いドリブルで右サイドを切り裂き、西堀のダメ押しゴールをお膳立てしてチームを2-0の勝利へと導いた。チームの持ち味でもあるドリブルは幾度となく海星守備にストップされたが、「そこでサッカーを変えたら、今まで3年間ドリブルをやってきた意味がないので、そこだけはブレずにできました」と“聖和学園らしさ”を発揮しての勝利に笑顔を見せた。

 選手個々の技術が高く、ドリブルが持ち味のチームの中で、自身のドリブルは「スタメンだったら、一番下手だと思う。他の選手はタッチの細かさとかもあるので、皆には敵わない」と自己評価。しかし、そう思うからこそ、「皆に負けないように、全体練習後にドリブルの練習を続けてきた」し、生き残るために「試合中にポジショニングとか次のプレーを誰よりも考えるようにしている」。

 チームの最高成績は2回戦で、次戦は鬼門となるが「2回戦の壁はあるけど、そこは気にしない」と意に介さず。「自分たちでつかみ取った勝利なので、楽しむことを考えたい」。楽しんだ先に勝利があることを信じて、1月2日のピッチに立つ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)

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