beacon

[MOM2016]前橋育英GK月田啓(3年)_“やられた!”そのたびに立ちはだかった最後の砦

このエントリーをはてなブックマークに追加

好セーブを連発した前橋育英のGK月田啓

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 市立船橋高0-0(PK3-5)前橋育英高 フクアリ]

 最大級の賛辞を贈った。0-0からのPK戦の末、市立船橋(千葉)を破った前橋育英高(群馬)の山田耕介監督は「“やられた!”というのが3本ぐらいあった。1試合にGKがファインセーブ、ビッグセーブを3本やってくれれば勝てますよ」と称えたのがGK月田啓(3年)だ。

「間の取り方がうまくて、試合を落ち着かせて、ゲームをコントロールできる選手」。後半は市船の攻勢に押し込まれながらも慌てることなく、最後尾からチームを落ち着かせた。後半9分、MF高宇洋(3年=G大阪内定)との1対1を止め、同26分にはあわやオウンゴールという味方DFのクリアを鋭い反応でかき出した。

 極めつけは後半36分。左サイドからのFKがゴール前にこぼれ、DF原輝綺(3年=新潟内定)が詰めてきたが、至近距離で体を張った。それでも「自分としてはそんなにファインセーブとは思っていない。フィールドのみんなが頑張ってくれていたので、自分も止めないといけないと思っていた」と、淡々と振り返る。

 前半からハイプレッシャーで飛ばしていた前育の選手たちは徐々に運動量が落ちたが、守護神は冷静だった。「みんなが頑張ってくれていて、足が止まるのは仕方ない。来るシュートは全部止めてやろうと思っていた」。その言葉どおり、プロ内定選手の決定機をことごとく跳ね返し、最後までゴールを許さなかった。

 0-0のまま突入したPK戦では相手の1人目がポストに当てる失敗。自らの手で止めることはできなかったが、残り3本もすべて読みは当たっていた。「PKは得意ではない」。思わず苦笑いした月田だが、「自分が止められたら良かったけど、勝てたことが一番うれしい」と微笑んだ。

 市船を破り、まずはベスト16。目指す先は、準優勝した2年前の記録に並び、超えることだ。「もっと上に行きたいし、埼スタ(準決勝以降の会場)に行きたい。一昨年、決勝まで行った姿を僕らは見ている。自分たちもそこまで行きたい」。優勝候補の一角を崩した“タイガー軍団”が大会の主役へと躍り出る。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2016
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2016

TOP