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[MOM2031]滝川二MF持井響太(3年)_「あとはお前やで」…滝川二の10人目の得点者は背番号10!

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ドリブル、パスで滝川二高の攻撃にアクセントをつけるMF持井響太(右)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 佐賀東高0-5滝川二高 フクアリ]

 得点に飢えていた。滝川二高(兵庫)は1、2回戦で8ゴール。攻撃陣は代わる代わる得点を重ねていったが、MF持井響太(3年)は攻撃の中心を担いながらも不発に終わっていた。

 3回戦・佐賀東高(佐賀)戦でも、チームのゴールラッシュは続く。この日初出場を果たしたMF辻本竜(2年)も得点し、リードを3点に奪ったところで、それまで左の攻撃的MFを務めていた持井は、FW山田裕也(3年)と入れ替わっての最前線に入った。「監督の指示でした。たぶん点を取れっていうことだと思います」。エースの得点を待っていたのは指揮官だけではない。「前の選手がほとんど点を取って、『あとはお前やで』と試合中からずっと言われていて。決めない限りはずっと言われるので、いい意味でみんながプレッシャーをかけてくれた」。
 
 ゴール前の持井にボールを集まる。疲れが見える佐賀東守備陣をスピードに乗ったドリブルで切り裂いてペナルティエリアに進入、しかし「シュートも打てたんですけど、中のほうが確実だった」とFW中森翼(1年)へのパスを選択。1年生ストライカーのゴールをアシストしても笑顔はなかった。

 時計の針が刻々と進んでいく中、ゴール前でボールを持ったMF加藤広康(2年)がチップキックでディフェンスラインの裏にボールを送る。「出てくると思わなかった」と持井も賞賛する絶妙なパス。「ほとんどのシュートがコースを狙って置きにいっていたので、振り切ってやろうと思って」。豪快にゴールネットを揺らしてようやく笑みをこぼした10番に、イレブンが駆け寄った。「チームに迷惑をかけていたので。点をとらないといけないポジションなのに、何回かチャンスを外してしまって。最後のほうはみんなが『決めろよ』というパスだった」。

 持井にとっては、1年次以来2度目の選手権を戦っている。「緊張感は1年生のときのほうがあって、いまは責任感を持ってます。緊張している選手も何人かいて、監督からは『1回経験しているんだから、その経験をみんなに伝えろ』と言われました」。プレー以外でも3年生MFが果たす役割は大きい。

 2年ぶりの選手権となる滝川二は、3試合連続無失点という守備陣に加え、3試合で13ゴールと攻撃陣も絶好調だ。「何点取ってももう1点狙いに行く。5点、6点取っても無失点で終わるというのが滝二らしさ」と今大会の滝川二にとって10番目の得点者となった背番号10は言う。攻守がかみあった滝川二が快進撃を続けている。

(取材・文 奥山典幸)

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