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[新人戦]新生・青森山田は反省の初白星。ピッチ立つ資格ある選手はまだ数人、試合内容も「2、30点」

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後半18分、青森山田高は10番MF郷家友太が先制点

[1.28 東北高校新人選手権1回戦 山形中央高 0-2 青森山田高 光陽A]

 新生・青森山田、反省の初白星――。第16回東北高校新人サッカー選手権大会が28日に福島県相馬市の相馬光陽サッカー場で開幕。16年度のプレミアリーグチャンピオンシップと全国高校選手権を制した青森山田高(青森1)の新チームが初陣で山形中央高(山形1)と戦い、10番MF郷家友太(2年)の先制点とオウンゴールによって2-0で勝った。青森山田は29日の準決勝で仙台育英高(宮城1)と戦う。 

 2-0で初戦突破したものの、学校業務などによって今大会不参加の黒田剛監督に代わって青森山田の指揮を執る正木昌宣コーチは「内容は求めているものの20点、30点くらい」と厳しい評価。それは必然の結果だった。

「ウォーミングアップでも来ただけで満足している選手がいたので、途中で5人くらいアップ止めろと。青森山田のアップって全国的に見ても相手が嫌だなと思うようなもの。試合の前から勝負が始まっているんだという自覚がまだまだ薄いかなと思います。声だけでなく顔つきだったりが、まだまだ新チームだなと」と正木コーチ。声や表情で相手を試合前から飲み込み、試合では立ち上がりから一気に流れを傾ける。青森山田の“本来の”試合前の雰囲気には程遠かった。

 2冠を獲得した16年から17年は3冠、選手権連覇などを期待する声が早くも選手たちに掛けられている。実際、正木コーチも技術面の高さなど今年のチームのポテンシャルを認めるが、現段階では青森山田の一員として試合に出る資格があるだけの気迫、攻守の切り替え、ハードワークなどを表現できているのは昨年からのレギュラーである主将のCB小山内慎一郎(2年)と郷家くらい。戦術面や崩しのパターンを身につける前に新生・青森山田はまず、ベースとして持っていなければならないものを必死に磨く。

 試合にかんしては、新チーム結成後に屋外でボールを使ったトレーニングはわずか。実戦も一週間前に秋田で仙台FC、ブラウブリッツ秋田U-18と3チーム変則の練習試合を行っただけだけだった。その中で向けた新チーム初戦の先発メンバーは4-5-1システムのGKが飯田雅浩(1年)で、4バックは右SB鍵山慶司(2年)、CB蓑田広大(2年)、CB小山内、左SB天笠泰輝(1年)の構成。中盤の底の位置に安藤駿(2年)が入り、シャドーは郷家と堀脩大(2年)。そして右MFが佐々木友(2年)で左MFが檀崎竜孔(1年)、1トップには全国優勝メンバー・三国スティビアエブス(3年)の弟、FW三国ケネディエブス(1年)が入った。

 一方、こちらも全国高校選手権に出場している山形中央は下級生時からチームの主軸だったMF貝山龍平主将(2年)やCB工藤万尋(2年)、左MF中川和彦(2年)らが先発。風上に立った前半は0-0。立ち上がりに貝山とMF水戸颯汰(2年)が連続でゴールを狙ったほか、強風を活かした攻撃からCKを奪う。また相手に背後を狙われてもCB沼澤健翔(2年)らが的確なカバーを見せ、ベンチから求めてられていた球際でも健闘するなど青森山田に思うようなサッカーをさせなかった。青森山田は前半、シンプルに三国にボールを預けてそこからの崩しを狙うが、サポートが遅くチャンスの数を増やせない。前半終盤に檀崎の突破や抜け出しから決定機もつくったが、無得点で折り返してしまう。

 それでも後半は安藤を起点に両サイドへボールを振り分け、そこからのクロスやセットプレーで得点を奪う。18分、堀の右CKを山形中央がクリアし損なうと、これを郷家が頭で押し込んで先制点。さらに29分には交代出場のMF 浦川流樺(2年)が右サイドを縦にえぐって上げたクロスが相手オウンゴールを誘う。後半に自力の差を示した青森山田だが、選手たちからは納得したようなコメントは聞かれなかった。

 小山内は「難しい試合になるのは分かっていたんですけど、去年の先輩方と違って、自分たちの学年の力の無さを痛感した試合だったと思います。優勝して注目受けると思うんですけど、注目を受ける中で勝たないといけないですし、優勝したのは去年の先輩たちなので、自分たちの学年はまだ何も成し遂げていないので、ゼロからのスタートだと思ってまずこの大会を獲りに行きたい」。昨年は日本一と言われるほどの元気とプレミアリーグで勝つために必要だった堅守、ポゼッション、カウンター、セットプレーと勝つための術を磨いて全国2冠を達成した。チームはこの日できなかったことを見つめ直して、積み上げて2戦目を勝利する。

(取材・文 吉田太郎)

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