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[新人戦]悔しい敗戦、涙乗り越えて…長崎総科大附GK湊がビッグセーブで優勝GKに

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長崎総合科学大附高GK湊大昂はビッグセーブでチームを優勝へ導いた

[2.13 九州新人大会決勝 長崎総合科学大附高 3-1 神村学園高 佐賀県総合運動場陸上競技場]

 2つの悔しい思いを乗り越えてきた守護神がチームを救った。長崎総合科学大附高は2-1と逆転した後の前半24分に神村学園高のエースFW高橋大悟に抜け出される大ピンチ。持ち味の鋭い動きで一気にGKをかわそうとする高橋の足下にあったボールは次の瞬間、横っ飛びした長崎総科大附GK湊大昂(2年)の右手に収まった。

 勝敗の行方を左右するビッグセーブだった。リードを守った長崎総科大附は逆に後半、追加点を挙げて3-1で勝利。九州新人大会初優勝を飾った。湊は熊本国府高との準々決勝ではPK戦で1本ストップして勝利に貢献。東福岡高との準決勝では完封勝利、そして決勝でも活躍して優勝の立て役者の一人となった。

 昨春からレギュラーを務める湊はプリンスリーグ九州無敗優勝などに貢献。だが、この12月、1月は悔しい敗戦が続いた。高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグ昇格を懸けた参入戦の2回戦で長崎総科大附はプリンスリーグ関東優勝の浦和ユースに0-1で敗戦。ゴールから大きく飛び出してカバーした湊のミスキックが相手に渡り、それが唯一の失点となってしまった。

 試合後、湊は人目をはばからず号泣。ロッカールームから移動バスへ行くまでチームメートの肩を借りなければ歩けないほどだった。「その時は自分のせいだと思っていたんですけど、キャプテンの薬真寺(孝弥)さんが『オマエのせいじゃない』と言ってくれて。そこで気持ちが切り替えられて、それがあっての今があるので、キャプテンには感謝している」

 続く全国高校選手権では桐光学園高との注目対決を完封勝利。鹿児島城西高との2回戦をPK戦で落として再び涙を飲んだが、今回の新人戦九州大会ではその鹿児島城西を2-0で撃破して雪辱した。「次は絶対に城西にリベンジしたかった。ゼロで抑えられたので良かった」。プレミアリーグ参入戦、全国高校選手権の悔しさを乗り越えてきた湊は九州新人戦の優勝GKとなった。

 悔しい思いを乗り越えてきたのは試合だけではない。湊の身長はGKとしては決して高くない175cmだが、チーム内にいる点取り屋たちのシュートによって磨かれて成長。「去年も、今年も(U-18代表の安藤)瑞季とか宇高(魁人、選手権長崎県予選得点王)さんとか上手すぎて。練習で(全く止められずに)泣いてしまってこともあります。(練習で安藤とは)今、五分五分なので次は入られないように頑張りたい」。練習から世代トップレベルのシュートを受け続けてきたGKはその環境の良さを活かしてさらに進化を遂げるつもりだ。

 今や、チームメートから厚い信頼を受けている湊。今大会では優勝に大きく貢献したが、本人はまだまだ満足していない。「全然完璧ではなかった。(来年の)選手権の時は完璧な姿で後ろから声を出してみんなの期待に応えたい。将来的には低身長でもやれるところを見せて、他の低身長のGKにやれるところを見せてあげたいです」。先輩への感謝の念は決して忘れない。今年は自分がチームを勝たせて恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)

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