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“目指すべき場所”は小6から変わらない…「満足したら終わり」、京都FW岩崎悠人が思い描く未来

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京都サンガF.C.のU-20日本代表FW岩崎悠人

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 高校ナンバーワンストライカーの看板を引っ提げて、京都橘高から京都サンガF.C.に加入したFW岩崎悠人。U-20日本代表にも名を連ねる快足アタッカーが、プロサッカー選手として第一歩を踏み出した現在の心境、そして5月に開催されるU-20W杯への熱い思いを語った。

アジア王者になったときより
サンガデビューの反響が大きかった


――高校時代に3年間過ごした地がホームとなる京都への加入が昨年8月に発表されました。改めて京都加入を決断した理由を教えて下さい。
「大きな理由は2つあります。まずは強化部の方々が本当に僕のことを考えてくれたことです。サッカー選手として成長するためにどうすべきかだけでなく、生きていく上で大事なことなどもアドバイスしてもらいました。特に印象に残っているのが(強化本部長の)細川(浩三)さんの『人が財産』という言葉で、このクラブに良い選手が来てくれることこそが財産だという意味のようで、その言葉に感動したし、その言葉を掛けて下さったことが本当にうれしかった。だから、そういう人たちについていきたいという思いになったし、もう1つの理由として、高校3年間を京都という地でプレーさせてもらい、本当に成長できたと思っているので、サンガでプレーして京都に恩返ししたかったからです」

――プロ入りを決断した際、プロで生き抜いていく自信というのは?
「当然、ありましたね。年代別代表に呼ばれてプレーしたとき、チームメイトにはプロのメンバーが多かったけど、その中で自分の特長となる運動量やスピード、泥臭さは通用していると感じたので、自信を持ってプロでもやっていけると思っていました」

――2月26日の山形との開幕戦でいきなりJリーグデビューを飾りましたが、周囲からの反響も大きかったと思います。
「正直、(昨年10月の)AFC U-19選手権で優勝したときよりも、プロデビューした時の方が反響があったかもしれません(笑)。開幕戦では今までお世話になった方や僕に携わってくれたいろいろな人がスタジアムに足を運んでくれたし、試合に出たときにはサポーターの方からも大きな拍手をしてもらった。本当に多くの方に応援してもらえているんだと実感できたし、サンガのデビュー戦の反響はすごかったと感じています」

――後半14分に交代出場して、同45分にはFWケヴィン・オリス選手の得点をアシストして結果を残しました。
「う~ん…。あれは結果ではないかなと思っています。ケヴィンの得点場面は、ああいうボールを蹴りたくて蹴れたわけでなく、『少し強めに』と思っていたけど、なぜか分からないけど力が抜けて、結果的にああいうボールになっただけです。ケヴィンが決めてくれたからアシストという記録はついたけど、あれは蹴っただけなので結果とは違うかなと思います」

――意図したプレーとは違ったから、結果ではないと?
「そう考えていますね」

――加入前に持っていた「プロでやれる」という自信が、実際にデビューしたことで、より強くなりましたか。
「『やれる』とは思いましたが、『活躍できるか?』と聞かれたら、まだまだですね。あの試合はボールを放してしまう場面が多くて、ミスはなかったかもしれないけどプレーに怖さもなかった。自分の特長を出すためにも、それ以外のプレーの部分でも、もう少し落ち着いて状況判断しないといけないと開幕戦で感じました」

――他に成長させなければいけないと感じていることはありますか。
「京都では、相手ボランチの脇でボールを受けたり、ギャップでいかに前を向けるかというプレーを意識していますが、間で受けるということを今までやってこなかったので、ちょっと戸惑いがあります。今は周りを見ることができないので、プレッシャーが来たら怖くてすぐにはたいてしまいますね」

――裏に抜けるだけではなく、プレーの幅を広げようとしている。
「高校のときは背後ばかり狙い、スピードで簡単に抜けられることも多かった。でも、アジアのとき(AFC U-19選手権)も感じたことですが、やっぱり背後に抜けるだけでは手詰まりになることもあります。僕は小川(航基)くんみたいにポストプレーができ、背後にも抜けられ、ゴールも決められるプレーヤーになりたいと思っています。背後に抜けるだけでなくプレーのバリエーションを増やしたいし、バリエーションを増やすことで、さらに背後へのプレーが怖くなると思っています」

トゥーさんとチームメイトは
あり得ないですよね(笑)


――京都橘高では1年生から選手権の舞台に立ち、年代別代表にも名を連ね、京都に加入して開幕戦でプロデビューと着実にステップアップしていると思いますが、冷静に現状を捉えているようですね。
「それは今まで京都橘の米澤(一成)監督から『調子に乗るなよ!!』とずっと言われてきたし、自分の目標はもっと上にあるので、満足したら本当に終わりだと思っています。開幕戦でデビューして、得点に絡んだからと言ってOKということは絶対にないし、次は自分の特長を出したいし、ゴールも奪いたい。そのためにはどうすればいいのか、何をしたらいいのかを考えています」

――もっと上にある目標というのは?
「僕が小学6年生のときに南アフリカW杯があったのですが、あの大会を見て『W杯に出たい』と思ってから、実は目標を立てたことがないんです。南アフリカW杯で日本はベスト16まで行きましたが、その頃の僕はそこまで勝つとは思っていなかった。でもデンマーク戦で本田(圭佑)選手や遠藤(保仁)選手が素晴らしいFKを決めて、決勝トーナメントに進出して、本当にすごかった。でも、一番覚えているのはパラグアイ戦のPK戦で負けたときで、僕も悔しくなったんです。それから目標は常にW杯出場で、そこに向かって努力しています」

――その南アフリカW杯でプレーしていた田中マルクス闘莉王選手とチームメイトというのは…。
「あり得ないですよね(笑)。トゥーさん(闘莉王)とはよく話をしますが、僕はプレースタイル的にゴリゴリ行って、それでガシャってつぶされることが多いので、そのプレーを結構いじられています(笑)。でも、プレーしている中でアドバイスをしてもらえるし、それで分からないことがあって改めて聞きに行くと、プラスアルファして教えてくれる。本当にいろいろなことを学ばせてもらっています」

――経験豊富な闘莉王選手にも委縮はしないようですね。
「そこはガンガン行っていますね。ちょっと怖いときはあるし(笑)、一方的にバッと言われることもありますが、そのときはしっかり受け止めて、また違う機会に改めて話を聞くことはできます。せっかく良い見本の選手が近くにいるので、盗めるものを盗み、学べるものを学ばないともったいないですよね」

――京都には京都橘の先輩である仙頭啓矢選手、小屋松知哉選手、永井建成選手もいますが、彼らの存在も大きいのでは?
「僕の方が先に加入内定が発表されたのですが、先輩方の加入が発表されたときはメチャクチャ驚きました。啓矢くんや知哉くんの代のサッカーを見て橘を選んだということもあったし、憧れていた人たちと一緒にプレーできると思うと、楽しみでしかたなかったですね。啓矢くんは僕が東洋大の練習に行ったときに面倒を見てもらい、そのときに連絡先を交換させてもらったけど、立場的になかなか連絡できなかったんです。でも今は車に乗せてもらって練習場の行き来をさせてもらうこともあるし、メチャクチャお世話になっています」

――先輩方から受ける影響もあると思います。
「特に啓矢くんと一緒にいる時間がすごく長いんですけど、あの人はすごくポジティブでうまくいかないことがあっても全然落ち込まないんですよ。僕もポジティブで切り替えは早い方だと思うけど、落ち込むこともあります。でも、啓矢くんと話していると元気をもらえるし、一緒にいるだけでポジティブな気持ちになれるので助けてもらっていると感じています」

――今季のJリーグは岩崎選手と同じ高卒ルーキーの活躍が目立ち、U-20日本代表でチームメイトであるMF原輝綺選手はJ1でレギュラーを張り、DF杉岡大暉選手はゴールを決めました。
「この間のU-20代表候補の合宿のときに会いましたが、もう敬語ですよ(笑)。『原さん!!』と呼んでいたし、杉岡には『あっ、ゴールを決めた人や』って言っていました。ただ、もちろん刺激にはなるし、自分も負けられないという気持ちにさせてもらっているのは間違いないですね」

当然負けたくないけど
久保くんは「すごい」としか言えない


――今、話にあったのように3月上旬にはAFC U-19選手権以来となる、U-20日本代表候補の合宿に参加しました。飛び級招集のFW久保建英選手とは初めてプレーしたと思います。
「久保くん、うま過ぎですよね。初めて間近で見たけど、練習の時のループシュートを見て、本当にヤバイなと思った。あんなの僕はできないですもん(笑)。ただ、ただ、純粋にうまいなと思いましたよ。ピッチ外でもしっかりしていて、サッカーに対して素直に、前向きにやっている選手でしたね。当然、負けたくない気持ちはありますが、すご過ぎて、すごいとしか言えない(笑)」

――U-20W杯に向けて、久保選手だけでなく、小川選手などAFC U-19選手権に出場した選手などメンバー入りを狙う選手とのサバイバルレースは激しくなりそうですね。
「今回の合宿ですごく良い刺激を受けましたが、その中で勝ち残っていかなければU-20W杯には出場できません。合宿中のYO-YOテストでも、(舩木)翔と一緒で一番走れたので、そこは負けたくないし、ゴールに向かう姿勢や泥臭いプレーは誰にも負けられないので、そこは自信を持ってやっていきたい」

――FWとしてゴールに向かう執着心は大事な要素になりますよね。
「ただ、最近はちょっとゴールが遠いんですよ…。高校のときならかわして余裕を持ってシュートを打てたけど、今は対戦相手のレベルが上がっているので、そんなに時間に余裕がない。慌ててシュートを打っているから、なかなか入らないというのもあるので、落ち着いてプレーできるようにならないといけませんね。でも、『いずれは入るはずだ』とポジティブに考えています」

――AFC U-19選手権では3ゴールを記録しました。グループリーグ第1戦イエメン戦や第3戦カタール戦の得点はこぼれ球に反応してのゴールで、得点嗅覚が発揮されたと思います。
「試合展開を見て、次のプレーを予測するのは得意なので、その部分を出せたかなと思います。小学生の頃はボランチでプレーしていて、セカンドボールを意識していたし、全部自分でやっていた感じで(笑)、すべてのセカンドボールを『俺が拾わな』と思っていたので、そのときの経験が得点嗅覚という部分につながっているのかもしれません。けど、U-20代表ではクロスからの形が多いので、その形から決められればと思っているし、前からプレッシャーを掛けてボールを奪い、そのままゴールできればとも思っています」

――世界を相手に見せたい武器を、改めて教えて下さい。
「アジアの戦いのときのような泥臭いプレーですね。やっぱり、そこは誰にも負けたくない。チェイシングしたときに相手に蹴られても足を伸ばしてカットするとか、イエメン戦のゴールのようにどんな球が来てもシュートを打つとか、最後まで走り切るとか、ちょっとしたことかも知れないけど、そうやってチームに貢献できるプレーを出したい。もちろん、スピードを生かして前からプレッシャーをかけたり、ドリブルでチャンスを作ったり、推進力を出してチームのスイッチになれればとも思っています」

――W杯出場が目標と話していましたが、20年には東京五輪もあり、U-20W杯は大事な通過点になると思います。
「僕は世界を相手にしたことがないので、U-20W杯で世界と対戦して自分がどれだけできるかを試したいし、そこの結果を受け止めて、20年の東京五輪に向けてやっていきたいと考えています。まずはU-20W杯のメンバーに入れるようにサンガで結果を残し、もしU-20W杯のピッチに立つことができたら、どんどんチャレンジしていきたいです」

(取材・文 折戸岳彦)





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