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[東京都1部L]昨年夏冬東京王者の関東一がトリプレッタユースを2-0撃破!「平均値」上げて全国で勝つチームへ

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前半6分、関東一高はMF篠原友哉(10番)のゴールで先制

[3.25 東京都1部L第4節 関東一高 2-0 FCトリプレッタユース 新小岩私学事業団総合運動場]

 25日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 東京1部(T1リーグ)第4節で16年度夏冬全国出場の関東一高とT1リーグ昇格組のFCトリプレッタユースが対戦。MF篠原友哉(新3年)とCB小野凌弥(新3年)のゴールによって関東一が2-0で勝った。関東一は2勝2敗に。トリプレッタは開幕4連敗となった。

 関東一は15年度の全国高校総体で4強入りし、16年度は全国高校総体予選で2年連続の東京制覇。そして初出場した全国高校選手権の開幕戦で選手権1勝を挙げた。年々結果が出てきているが、再スタートした今年はまだまだ安定した戦いをすることができていない。この日もボールを支配している時間こそ長かったものの、メリハリがなかったり、精度を欠くシーンがあるなど納得のゲームができた訳ではなかった。それでも悪くない内容の試合で2連敗していたチームは連敗ストップ。小野貴裕監督が「勝つことが一番だった」と語ったように、今後に繋がる白星を掴んだ。

 前半6分、関東一は10番、篠原のファインショットによってスコアを動かす。この日、攻撃の“潤滑油”の役割を担った151cmMF金子直樹(新2年)の落としから、篠原が右足一閃。ゴール右上隅へ突き刺さるスーパーミドルによって関東一が先制した。

 その後もゲームをコントロールした関東一はボールを失った後のアプローチ速く、トリプレッタに持ち味のパスワークを許さない。篠原と186cmMF今野綾仁(新3年)のダブルボランチのところで何度もボールを奪って攻撃へ移行。最終ラインの選手も高い位置を取って組み立てに参加し、左FW重田快(新3年)がドリブルで違いを示すなど相手にプレッシャーをかけていた。
 
 トリプレッタは東京都クラブユース(U-17)選手権で東京武蔵野シティFC U-18を4-1で破るなど4位に食い込んでいる街クラブの強豪。昨年に比べると飛び抜けた個はいないものの、全体の選手層は厚いという世代だ。だが、大貫雅之監督が「新チームのスタートから、前半我慢してというのがいい意味でも悪い意味でも染み付いてしまっている」というチームは序盤に先制されると、その後もボールを握られて自陣で我慢する時間の長い展開となった。

 それでも“良い意味での”我慢強さをこの日も発揮。押し込まれる展開ではあったが、相手のバイタルエリアからの仕掛けに粘り強く対応して簡単には崩されない。そして攻撃面では高いキープ力を披露していた10番MF谷本竜一(新3年)やMF大友蓮(新3年)を中心にハイサイドまでボールを運ぶと、複数の選手が絡んでのアイディアある崩しにチャレンジ。前半21分には右SB進藤佑主将(新3年)の右CKのこぼれ球に反応したCB茅島虹太(新3年)の右足ボレーがゴールを襲い、38分にはGK島田航樹(新2年)のキックを起点とした攻撃からFW船越毅郎(新3年)がフィニッシュへ持ち込む。

 関東一は後半、中盤で存在感を見せる篠原が相手のプレッシャーを剥がしてサイドへ配球。重田のドリブル突破などを交えた攻撃から2点目を狙うと15分、FW古宇田旭(新2年)の右CKをファーサイドの小野が頭でゴールを破って2-0とした。

 関東一はその後も交代出場のMF長野真大(新2年)が再三ドリブルで仕掛け、スペースへ抜け出した右SB鹿野祐人(新3年)や古宇田が決定的なシュートを放っていたが、3点目を奪うことはできず。一方、大貫監督が「流れを変えられる選手がいるので0-1までなら良かったんですが……」というトリプレッタは交代選手を活用しながらサイド攻撃の回数を増やして追撃ゴールを狙うと、29分には左クロスのこぼれ球に交代出場のFW川野優大(新3年)が反応。だが、シュートがゴール右へ外れるなど最後まで1点を奪うことができなかった。

 リーグ戦3試合ぶりの勝利を果たした関東一は、小野監督も「本当にいい条件が整った時、去年と今年でやれる幅は今年の方が大きいと思います」とポテンシャルを認めるチームだ。今月出場したプーマカップでは選手権優勝校の青森山田高に3-0で快勝。同準優勝の前橋育英高には前半0-4と圧倒されたが、後半は立て直して1-0で終えている。

 選手権で注目されたGK北村海チディ(新2年)が「勇気を持ってプレーできていたし、自分達の良さ、サイドでボール持ってサイドから切れ込んでシュートまでいけていた」という強豪との2試合。相手に力を引き出してもらった際には高い潜在能力を表現することができているが、まだまだ自分達でそのレベルの試合運びをすることはできていない。それだけに小野監督は「平均値を上げる部分をやっていかないとダメ」「普段から蓄積できる経験を」と求めていた。

 昨年のようにトーナメントで勝ち抜く強さを身につけること、そしてチームのベースを高めるためにプリンスリーグ関東へ昇格することも目標だ。篠原は「一人ひとりが成長して辛い状況でも勝てる、踏ん張れるチームにしていきたいです。最後の最後でやられる悔しさは分かっているのでそこをつけるようなチームにしていきたい」。まずはチームの平均値を上げること。そして選手権で敗因となった部分も全員で改善して東京で常に勝ち続ける、そして全国で勝つチームになる。

(取材・文 吉田太郎)

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