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[UAチャレンジカップ] 首位・明秀日立vs逆転V目指した慶應義塾。互いに意識し合う強豪対決は0-0ドロー

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今年の新人戦茨城県大会を制している明秀日立高と昨夏全国を経験している慶應義塾高との強豪対決は0-0で引き分け

[3.29 UAチャレンジカップ 明秀日立高 0-0 慶應義塾高 いわきFCフィールド]

 29日、高体連、Jクラブユースの7チームが総当りのリーグ戦で優勝を争った「アンダーアーマーチャレンジカップ 2017 SPRING」で首位の明秀日立高(茨城)と勝ち点3差の慶應義塾高(神奈川)が激突。0-0で引き分けた。

 昨年末のフェスティバルで対戦した際は慶應義塾が3-2で勝利。萬場努監督が「勝ちにこだわろうと言っていた」と振り返る明秀日立に対し、慶應義塾の大方貴裕監督も前日から選手たちがこの試合へ向けて意気込んでいたことを明かす。そして、今大会を代表するDF酒井綜一郎主将(新3年)は「アップの時に相手が凄い声を出していて、僕らは全然声が出ていなくて。その分、『入りしっかりしなくちゃダメだから、気引き締めてやろう』と円陣の時にみんなで声を掛け合っていた」。

 互いに意識している強豪対決は立ちあがり、明秀日立が連続CKを獲得するなどゴールへ迫った。そして、今大会印象的なプレーを見せるMF川上璃久(新2年)がインターセプトから右足シュートを打ち込むシーンもあったが、その後は攻守両面において中盤が機能していた慶應義塾が主導権を握る展開に。一際質の高いファーストタッチを見せていた司令塔MF平田賢汰(新3年)やMF奥田峻也(新2年)を中心に幅を使った攻撃を繰り出し、またCB酒井から前線で身体を張るFW板倉正明(新3年)への縦パスを起点にFW島田雄大(新2年)がシュートへ持ち込むなど、連動した攻撃を見せる慶應義塾に対して、明秀日立は「負けたくない」という気持ちが強すぎたか、後ろに重い試合運びとなってしまう。

 それでも幅広いカバーリングを見せるDF深見凛主将(新3年)や身体を投げ出してヘディングするDF市江祥也(新3年)、安定感高いGK木村謙一(新2年)らを中心に無失点で凌いだ明秀日立は後半、「走らされるとエネルギーがなくなってしまう」(萬場監督)ことから戦い方を修正。相手がボールを保持する時間を減らし、交代出場のFW高村哉太(新3年)らをポイントにスペースを狙う攻撃を増やすと、慶應義塾は前半の良いリズムを失ってしまった。

 明秀日立は左MF岩谷拓汰(新3年)やMF津村夢人(新2年)がフィニッシュへ持ち込んだが、一方でPAまでいい形で攻めながらもコントロールをミスしてチャンスを逸してしまう。優勝するためには勝ち点3の欲しい慶應義塾も島田や奥田がシュートまで持ち込むなど1点を目指したが、0-0で引き分け。目標の優勝が遠のく結果となった。

 今月のスペイン遠征をきっかけに意識面から変わった慶應義塾だが、目標の選手権出場、全国制覇へ向けて一つひとつの徹底的に突き詰めていかなければならないことを感じる大会となった。酒井は「例えば、パスをどっち足につけるか、自分はこだわっている。そういうところまでこだわらないと上にいけない」と口にし、「スペインは一瞬一瞬を大切にしなきゃスタメンでも、すぐに次の日外されちゃうとか聞いて。練習からもっとやっていかないといけないと分かったから、一瞬一瞬を大切にしていきたい」と誓っていた。

 一方、明秀日立は直後の試合で2位・聖光高と長崎日大高が引き分けたこともあって優勝に一歩前進した。萬場監督も「負けなかったのは良かった」と頷いたが、深見は「後半は結構自分たちのペースでできていたので点取って勝ち切りたかったですね。今回リベンジだったんですけど点取りづらくて、悔しいですね」。チームにとっては大きな勝ち点1。それでも悔しがっていた彼らの思いがまたチームを成長させるはずだ。

(取材・文 吉田太郎)
アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SPRING

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