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[UEFA Young Champions]GK手塚來須が大会MVP!無我夢中の20分間「覚えていない」

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大会のベストプレーヤーに選ばれたGK手塚來須

[4.16 UEFA Young Champions 2017 日本代表選抜大会 ともぞうSC(Aチーム) 4-1 横浜F・マリノスジュニアユース(Bチーム) 神宮外苑フットサルクラブ千駄ヶ谷コート]

 無我夢中だった。決勝戦ではGK手塚來須が観衆を沸かせるビッグセーブを連発。熱戦を終えた守護神は「覚えていないです」と率直に明かした。あえてフットサル対策を練らずに大会に挑んだともぞうSC。慣れないサイズのゴールマウスを懸命に守った。

「いつもはサッカーをしているので、コートが小さくて、切り替えを早くしなきゃいけないのが難しかった。サッカーはコートが広いので自分のところにくる回数が少ない。心配だったけど、自分にできる分だけ頑張ろうと思った」

 10分ハーフで行われた決勝戦。前半2分に福田拳龍が先制のゴールネットを揺らし、試合の流れを引き寄せた。「攻撃的なプレーが持ち味」という手塚は前半4分、狙い澄ましたフィードを供給。ゴール前の福田がぴたりと収め、ゴールに背を向けながらヒールでシュート。最後尾からビルドアップに絡み、アイディア光るフィニッシュにつなげた。

 集中力は研ぎ澄まされていた。前半7分に森優輝のシュートを難なくキャッチすると、諏訪間幸成のコントロールシュートも右足を伸ばして弾き、前半を無失点に抑えた。後半も“手塚劇場”は止まらない。後半2分に至近距離からのシュートを冷静にストップすると、同7分には体を投げ出して原大輝の強烈なシュートをセーブ。立て続けに森のシュートも横っ飛びで防ぎ、会場をどよめかせた。

 チームは素早い攻守の切り替えから4ゴールを奪取。終了間際に1点を返されたが、試合の流れを譲ることはなかった。「いつも落ち着いている選手」と信頼を寄せる渡邊亮コーチも、殊勲の活躍に「普段は攻撃的なキーパーなんですが…」と驚きを隠さなかった。

 優勝を狙っていた。AチームとBチーム全員が3年生。当初はチームのコンセプト通り「楽しくプレーしよう」と大会に臨むつもりだったが、全員で話し合った末、優勝を目指してチームを編成。Bチームのメンバーもピッチサイドから声を張り上げて仲間を鼓舞し、見事に欧州CL決勝開催地のウェールズ(カーディフ)で行われる世界大会出場の切符を勝ち取った。

 世界との戦いに不安はない。小学5年時から継続して栃木県代表に選出され、タイや韓国でのプレー経験もある。中学入学後はキックの精度向上に努め、足元の技術を磨いてきた。世界大会に向けて「もっと後ろからコーチングでみんなに貢献したい」と気合は十分だ。大会MVPに選出された身長175cmの14歳GKは「自分たちの実力を最大限出せるように頑張りたい」と意気込んだ。

(取材・文 佐藤亜希子)

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