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[JFAプレミアカップMOM]清水ジュニアユースMF青島健大(3年)_想いの強さで勝ち取った優勝と大会MVP

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[中学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.5 JFAプレミアカップ2017決勝 名古屋U15 1-3 清水JY J-GREEN堺]

 エースナンバーである10番とキャプテンの座を託されたMF青島健大(3年)が、想いの強さで清水エスパルスジュニアユースを連覇へと導いた。緊張から硬さも見られた大会の初戦以降、「日に日に良くなっていった」(青島)清水はこの日も序盤から持ち味である球際の強さと、粘り強さを全面に出した守備で名古屋U15を圧倒。奪ってからは手数をかけずに前方に繋ぎ、左からは青島が、右からはMF東廉がドリブルで見せ場を作った。青島自身の見せ場は、1点を奪った後の前半21分。左サイドから挙げたクロスが、東の決定的なヘディングシュートを生み出したが、このシュートはクロスバーに嫌われ、ゴールに結びつかない。

 後半に入ってからも青島のドリブルの勢いは衰えず、名古屋のサイドを積極的に攻略した。後半22分には、相手CKからのカウンターを中盤で受けると、ドリブルで深い位置まで突破。PA左に入ったところで、ゴール前へとパスを送ったが、味方とは合わなかった。見せ場を作りながらも、結果として見れば得点には絡めず。「自分としては、ゴールを奪いたかったし、チームのためにアシストもできたら良いなと思っていた」と肩を落としながらも、「チームの優勝が一番大事だと思っていた。昨年、3冠を達成したので、プレッシャーもあったけど、優勝できて素直に嬉しい」と喜びを口にした。

 今大会トータルで見ても、残した記録は1得点2アシストだが、決勝後の表彰式で大会MVPを受賞したように、5試合で見せたパフォーマンス、特に切れ味鋭いドリブルと攻守両面に絡む運動量の多さはチームでも目立っていた。しかし、横山貴之監督が称えたのは、プレー面よりも気持ちの面だ。前年王者とはいえ、昨年からの主力に絡む選手はごくわずか。そのうちの一人で、昨年の大会でベスト11を受賞したMF成岡輝瑠(3年)はU-15日本代表の一員として、イタリア遠征に参加したため、1次ラウンドは全試合でメンバー外に。準決勝と決勝も、コンディションを考慮し、後半からの出場に留まった。

 昨年からの主力であり、キャプテンの座も託された青島への負担も大きかったが、「昨年のチームを経験している分、緊張はあまりない。その分、周りの緊張をいかにほぐすかや、フォローすることを考えた。プレーで『自分がやるんだ』と意識したし、『集中するぞ』と声をかけたりした」とプレーと精神面でチームを牽引。横山監督は「もっと判断の質を高めないとダメだと思いますが、自分が得点を決めたいなど『自分がやるんだ』という気持ちを出してくれた」と青島を称えた。

 自らが中心選手としてタイトルを掴んだからこそ優勝の喜びもひとしおで、「先輩の背中を追いかけていただけで、自分は何もしていない。『優勝したなー』くらいの感じだった」昨年の優勝とは違い、「今回は自分たちが一番上の代で、自分が引っ張って優勝できたことは嬉しかったし、自信になった」と口にする。

 試合を終えた直後は、日本一の喜びを噛み締めたが、視線はすでに先を見据えている。目指すのは「清水エスパルスで、プロ選手になること」。「今大会では、守備の判断のまずさや、シュートの課題も見えたし、優勝したことで、チームとしても個人としても自信になったと思うけど、ここで満足したら東海リーグや、クラブユース選手権で負けてしまう。良い自信にしていきたいし、これからも日々の練習から意識を強くして、2冠、3冠とタイトルを積み重ねて、プロに近づきたい」と続けたように、今回の優勝を憧れのステージに近づくための足掛かりにするつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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