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山口蛍、顔面骨折の“因縁”シリア相手に「乗り越えていかないと」

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“因縁”のシリア戦に向けて調整するMF山口蛍

 4日のJ1新潟戦から中2日ながら、7日のシリア戦(味スタ)では4-3-3のアンカーとして先発が濃厚なMF山口蛍(C大阪)は「大丈夫。問題ないと思う」とフィジカル面で自信を見せた。

 戦術面のイメージもしっかりできている。「後ろはセンターバックとその前に1枚(アンカーが)いれば十分だと思う。そこでうまく守って、(インサイドハーフの)2人には、比較的攻撃的に行ってもらえればいい」

 アンカーの場合、ダブルボランチよりも真ん中にポジションを取ることが多く、役割はハッキリしている。自身がつぶし役となることで、「前の2枚はサイドを追い越していく動きもやりやすいと思う」。3月23日のUAE戦(2-0)でインサイドハーフのMF今野泰幸がゴールを決めた形が脳裏に浮かぶ。

 今回のシリア戦は、13日に中立地のイランで行なわれるW杯アジア最終予選・イラク戦に向けた準備試合という位置付けだ。

「シリアはイラクに似ているので、それを頭に入れながらやらなくちゃいけない。自分たちがボールを持つ時間が長く、押し込む展開になるかもしれない中、カウンターをさせないことが一番大事。簡単にボールを失わないというのも必要」

 シリア戦に向けて淡々と話す山口だが、一方で、心の奥には不安要素が残っていることも吐露した。昨年3月29日に埼玉スタジアムで行われたW杯アジア2次予選・シリア戦。日本が5-0の快勝をおさめた一戦で山口はアクシデントに見舞われた。

 後半10分、MFハレド・アルムバイドと競り合った際に激しく交錯。相手の頭が顔面に入って流血し、そのまま担架で運び出された。診断結果は鼻骨骨折および左眼窩底骨折。その後の精密検査では鼻篩骨(びしこつ)および上顎骨(じょうがくこつ)の骨折も判明した。アルムバイドは今回も来日メンバーに入っており、再びピッチ上でマッチアップする可能性もある。

「恐怖感というか、もちろん苦い思い出はある。普通の(心理)状態ではないと思う。でも、それも乗り越えていかなければならない」。“トラウマ”を乗り越えていこうとする山口を奮い立たせる原動力は、所属のC大阪が快進撃を続けていることだろう。「チームと代表では全然違うので、やってみないと分からない。でも、チームはほんとに良いので、その良い状態で試合に挑める」と力強く言った。

(取材・文 矢内由美子)

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