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“ツインタワー”の猛攻から追い付き、PK勝ち!前橋育英が京都橘との熱闘制して4強入り!

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後半20分、前橋育英高はFW榎本樹(4番)が同点ヘッド

[8.2 総体準々決勝 京都橘高 1-1(PK2-4)前橋育英高 みやぎ生協めぐみ野サッカー場Bグラウンド]

 平成29年度全国高校総体 「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)は2日、準々決勝が行われ、4強が決まった。京都橘高(京都)と前橋育英高(群馬)の一戦は、1-1のスコアで両者譲らずPK戦までもつれる熱戦となり、前橋育英が4-2と勝利。09年以来8年ぶりの優勝を狙う前橋育英は3日の準決勝で流通経済大柏高(千葉1)と戦う。

 すっかりスロースターターの印象が定着してしまった今大会の前橋育英。MF田部井涼主将(3年)が「本当にそこが課題で分かってはいるんですが」と嘆いたように、この京都橘戦も試合の立ち上がりでエンジンが掛からない。3回戦で青森山田高(青森)との死闘を経たことによる心身の疲労も「『ない』というイメージを持ってきたけれど、体が動かなかったところはある」(田部井涼)のも確かだろう。

 また「デュエル(1対1のバトル)のところで思っていた以上に京都橘が手強かった」と前橋育英・山田耕介監督が振り返ったように、フィジカルコンタクトの部分でで優位に立てるかと思われた前橋育英が、必ずしもこの勝負で勝てなかったことも大きかった。

「セカンドボールを拾えなかった」と田部井涼が振り返ったように、主導権を握りきれず。逆に京都橘・米澤一成監督が「前半は良かった」と語る手ごたえのある内容。「これまで全然勝てていない」(同監督)相性の悪い相手に対して五分以上の展開に持ち込んでいた。ただ、京都橘も前橋育英守備陣を攻略するには至らず、後半勝負の展開になることは明らかだった。

 両チームがアクセルを踏み込んだ後半立ち上がりはめまぐるしい攻防となった。後半開始2分で前橋育英の左SB渡邊泰基(3年、新潟内定)がドリブルからのカットインシュートを際どく狙えば、3分の京都橘は左MF土井翔太(3年)のクロスからFW輪木豪太(3年)が頭で合わせる決定機をつかむ。そして先制点はこの直後。京都橘は左SB河合航希(3年)を起点にした攻めで左サイドを破ると、FW関野竜平(2年)のクロスに再び輪木が合わせる。今度はしっかりゴールネットを揺らしてみせた。

 1点を追う展開となった前橋育英は後半12分から185cmの大型FW宮崎鴻(3年)を投入。パワフルさに定評のある宮崎と、184cmの長身FW榎本樹(2年)を前線で組ませる“ツインタワー”で同点を狙っていく。「これもサッカー」(山田監督)というパワープレー気味の展開も辞さずに、京都橘の守備陣に圧力を加え続けた。同時に前線からの守備も激しさを増し、京都橘はなかなか思うようにボールを動かせない。迎えた後半20分、渡邉のロングスローから榎本が頭で合わせるシンプルな攻撃で同点に追い付いてみせた。

 京都橘はここから崩れない逞しさも見せ、逆に土井や関野が惜しいシーンを迎えるチャンスも作ったが、試合のスコアは1-1から動かず。決着はPK戦に委ねられることとなり、ここでは5人中4人が成功した前橋育英に対し、京都橘は2人がキックミス。PKのトータルスコアで4-2と勝ち越した前橋育英が辛くも準決勝進出を決めた。

 試合内容は渋めだったが、山田監督は「サッカーはいい試合ばかりできるわけじゃない。こういう試合を勝ってこそ優勝できる」と前向きに総括。主将の田部井涼も次戦の流経大柏戦に向けて「相手はウチにとって長年のライバル。勢いがあってパワフルなサッカーをしてくるけれど、絶対に勝ちたい」と力を込めた。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校総体2017

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