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11-0で青森21連覇達成。王者・青森山田は来年1月8日まで成長し続けるチームに

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選手権予選21連覇を達成した青森山田高イレブン

[10.22 選手権青森県予選決勝 青森山田高 11-0 八戸学院野辺地西高 青森総合]

 第96回全国高校サッカー選手権青森県予選決勝が22日、青森県総合運動公園陸上競技場で行われ、昨年度全国王者の青森山田高がU-18日本代表FW郷家友太(3年、神戸内定)の4ゴールなどによって八戸学院野辺地西高に11-0で勝ち、21年連続23回目となる全国大会出場を決めた。21年連続の全国出場は、国見高(長崎)が86年度から06年度まで連続出場した記録に並んで史上最多タイ。青森山田は今冬の選手権全国大会出場を最も早く決めた高校にもなった。

 青森山田は来年の1月8日まで成長し続ける。黒田剛監督は言う。「去年も決勝戦の前橋育英戦の日、『まだチームは強くなれる』というのが合言葉だった。いつも、チーム作りは途中でピークを迎えて、3年生が慢心な気持ちになったり、言っても頭の中に入っていかないとことがある。でも、『まだまだ学ぼうぜ』っていう合言葉があった時は強い。(今年も)そう持っていきたい」。選手権全国大会決勝当日まで成長し続けて、プレミアリーグとの2冠を達成した昨年のチームのように、青森山田は今回も18年1月8日の選手権決勝まで成長し続ける。

 前日の準決勝では立ち上がりに不用意な失点。プレミアリーグで4試合連続完封をしてきたチームは、20連覇中の青森県予選からも何が起こるか分からないという難しさを学んだ。それだけに、この日はウォーミングアップから非常にピリピリしたムード。そして試合中は主審の笛が鳴るまで決して足を止めなかった。

 青森山田は立ち上がりから相手を飲み込む。前半3分、右サイドを崩すと、ラストパスをニアサイドへ飛び込んだ郷家が左足ダイレクトで合わせて先制点を奪う。八戸学院野辺地西は失点後にFW中山基輝主将(3年)の突破やFKのこぼれ球に反応したFW澤上京太(3年)の決定的なシュートで反撃。だが、青森山田は9分、左サイドからカットインしたMF檀崎竜孔(2年)が右足で決めて2-0とした。

 青森山田は最終ラインの選手たちが高い位置でビルドアップに参加。2点を奪った後も、スピーディーなパスワークを続けて相手の守備網に隙を作り出す。だが、ビルドアップやクロスのミス、ファウルが重なるなど、やや停滞した時間帯に。逆に八戸学院野辺地西はCB舘睦人(2年)や中山がインターセプトした勢いでそのまま攻め上がり、敵陣に侵入するなど、強敵に対して必死に食い下がろうとしていた。

 だが、青森山田は35分にU-18日本代表FW中村駿太(3年)が強引な仕掛けからシュートを打ち切ると、こぼれ球に反応したMF佐々木友(3年)がダイビングヘッドで決めて3-0。そして、黒田監督が「我々がやっているのは全国優勝を目指すためのチーム作りであって、相手がどこであろうと、点数何点入ろうとやることを徹底しなければならない」と檄を飛ばして迎えた後半に青森山田は怒涛のゴールラッシュを見せる。

 開始直後に右CKからファーサイドの中村が頭で押し込むと、5分には左サイドの崩しから強引に前を向いて仕掛けた中村がファインゴール。6分にもDFラインの背後へ飛び出した郷家が決め、14分にも左クロスのクリアボールに反応した郷家が右足ダイレクトボレーをニアサイドへ突き刺してハットトリックを達成した。

 青森山田は止まらない。16分に檀崎、17分には交代出場のMF瀬尾純基(3年)が決めて9-0。そして21分には浮き球の鮮やかなコントロールで左サイドを抜け出した郷家が“無回転”ショットの鮮烈ゴールを決めて2桁の大台に乗せた。そして24分にも交代出場MF浦川流樺(3年)が決めて11-0。強さを見せつけた青森山田が青森県内での連勝記録を329へ伸ばして全国進出を決めた。

 青森山田は全国大会で00、01年度の国見高(長崎)以来となる全国連覇に挑む。選手権全国連覇は1997、98年度の東福岡高(福岡)や83、84年度の帝京高(東京)など8校しか達成していない難関。青森山田は夏のインターハイで東福岡、前橋育英高(群馬)と続いた激戦ブロックを抜け出すことができず、3回戦敗退の悔しさも味わった。

 だが、青森山田は現在、高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグEASTで首位と勝ち点1差の2位につけ、「(この1年を通して)全体が上がったんじゃないかな。上がっていない選手は試合に出られないから」と黒田監督が語るように、チーム全体の戦力が着実に向上している。

 郷家は「インターハイで負けた後は、『自分たちの成長が止まっている』とも言われたので、本当に焦りと不安で選手権を迎えて県大会を突破できたということでは大きいんですけれども、ここからまた成長し続けられるかは自分たちの課題でもあるので、もっともっと向上心を持ってやっていきたいと思っています」と満足することなく、さらなる成長を遂げることを誓っていた。

 また、郷家とともに、レギュラーとして昨年の全国制覇を経験しているCB小山内慎一郎主将(3年)は、昨年のチームとの差について「まだ、全然」と首を振る。そして「今年は去年の良いお手本がある。去年と比較して今の時点で何が足りていないか、比べられるいい見本があるので、それに近づくために何が必要か、越えていくためには何が必要かというのをミーティングから話ながらやっていきたい」と意気込んだ。第1シードとして戦う全国大会。夏に見えた連戦でのフィジカル的な甘さなどを改善するなど、個、チームで成長してきた青森山田が大一番の続くプレミアリーグ終盤戦、そして選手権でも成長しながら勝ち続けて再び歴史にその名を刻む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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