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「スカウティングどおり」の川崎Fホットライン炸裂! U-21代表、初完封でトゥーロン国際7位フィニッシュ

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[6.7 トゥーロン国際大会7位決定戦 U-21日本 1-0 U-21トーゴ フランス]

 7日、第46回トゥーロン国際大会の7位決定戦が行われ、U-21日本代表はU-21トーゴ代表と対戦。双方の意地がぶつかり合う展開となったが、日本はFW三好康児(川崎F)が前半40分に挙げた虎の子の1点を固守し、フランスでの最終戦を勝利で飾った。

 横内昭展監督代行が「落ち込んだのは確かで、選手たちにとって難しいものがあったと思う」と率直に語ったように、準決勝進出という目標を断たれて臨む、主に心理面での持っていき方にポイントのある試合だった。ただ、「本当に素晴らしい姿勢だった」(横内監督代行)と中3日のトレーニングにもしっかりと注力。このゲームでも立ち上がりからテンション高く、集中して試合に入ることに成功していた。

 この大会を通じてリベロとして開眼した印象のあるDF冨安健洋(シントトロイデン)からの球出しを主な起点としつつ、MF井上潮音(東京V)とMF松本泰志(広島)の両ボランチがボールを引き出しながら運び出し、トーゴを敵陣に押し込む流れを作り出す。屈強な守備陣に阻まれて決定的なチャンスを作るには至らないもどかしい展開となったが、我慢強く試合を進めた日本の攻勢が40分に実る。

「プレーしながらスカウティングで聞いていたとおりだと感じていた」というMF三好康児(札幌)が巧みな動き出しで相手DFの間をスルリと抜け出して裏を取ると、MF三笘薫(筑波大)が完璧なタイミングのスルーパスを通す。「小学生から一緒にやっているので、何を考えているかはすぐに分かる」という川崎Fアカデミー育ちのホットラインが繋がると、最後は三好が突っ込んできたGKの上をヒョイっとかわす技巧的なシュートを決めて、均衡していた試合を動かしてみせた。

 後半に入るとトーゴが攻勢を強めたことに加えて、「(連戦による)疲労があり、走れなくなる選手が出てきた」(横内監督代行)日本は徐々に劣勢となっていく。拾えていたこぼれ球が拾えなくなり、「足が止まってしまった」(冨安)ことでパスワークの効率も低下。さらに「あんな威力のシュート、日本では見たことがない」(松本)と選手も驚くパワーシュートがゴールポストやバーを叩くなど明らかな苦境に立ったが、「みんなで体を張って守れていた」(冨安)と、水際での防戦に成功。難しい時間をしのぎながら、カウンターでの好機も作るなど何とか均衡を保って試合を進めた。

 グループステージでは「劣勢になるとバタバタしてしまう」(横内監督代行)ところを露呈していたチームだが、この試合では流れに飲まれることなく踏みとどまる強さを見せる。指揮官もこれまでにない勢いでベンチから選手たちを鼓舞し、選手たちもそれに応えるタフネスを披露。粘り強く組織的な対応を続け、80分間を敢闘。1-0のスコアを維持したまま、試合終了を迎えることになった。

 今大会初の無失点試合での快勝となった日本は、これで12チーム中7位の成績で大会を終えることに。当然ながら満足ということはない戦績だが、最後にアフリカ勢を相手にタフな戦いを勝ち切れたことは小さからぬ意義があるだろう。

 これでチームはいったん解散となるが、8月にはアジア競技大会(インドネシア)という大きなステージが待っており、2年後の東京五輪へ向けて「ここで積み上げたモノの上へさらに積み上げられるように」(横内監督代行)成長するための戦いを続けていくことになる。

(取材・文 川端暁彦)
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