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突然の「上京告白」電話から3年…FC東京深川MF安田、金沢U-15MF土居「めちゃくちゃ楽しかった」マッチアップ

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健闘をたたえ合うMF安田虎士朗とMF土居海斗

[12.28 高円宮杯U-15決勝 FC東京深川1-0金沢U-15 味フィ西]

 FC東京U-15深川の背番号10は試合前から笑顔だった。これから起こることが楽しみ、またはすでに嬉しくて仕方がないといったところか。出身地である石川県金沢市のクラブ、ツエーゲン金沢U-15との決勝を戦い終えたMF安田虎士朗(3年)は、「めちゃくちゃ楽しかったです」と充実の汗をぬぐった。

 安田にとって金沢U-15は、中学入学とともに入団を決めていたクラブ。しかし正式入団直前にFC東京から声がかかり、「強豪クラブでやりたい」と家族と共に上京を決意した。それだけに「中学3年間の最後がこの相手。本当に嬉しかった」と運命を感じずにはいられない。

 金沢の右MF土居海斗(3年)とは、小学校の時に小松市にある符津スポーツ少年団サッカー部で一緒にプレーした。ホットラインを作り上げた仲で、当時から何をするにも互いに信頼し合っていたという。

 FC東京への挑戦は電話で報告した。突然の告白に土居は「一番のパートナーがいなくなる」と不安にかられたというが、最終的には「お互いのステージで頑張ろう」と背中を押した。

 それから3年。まさか西が丘のピッチで、中学年代最高峰の舞台で対戦できるとは。安田は「めちゃくちゃ意識してプレーしていました」。土居も「一番いい舞台で、虎士朗と一緒に試合が出来ることが嬉しかった」と夢のようなマッチアップを思う存分、楽しんだ。

 勝敗が決した後、安田はすぐに土居のもとに駆け寄って、「ナイスゲーム」と声をかけた。土居は悔しさから頭の整理が出来ない様子だったが、しばらくすると、「これからのこととかをめちゃめちゃ話したい」と友人を思う中学3年生の少年の顔に戻っていた。

「一生の思い出になりました」(土居)

 互いの実力を認め合うからこそ、これからもライバル関係は続く。来年からはそれぞれのユースに昇格して、プレーすることになる。そして誓い合う。「次のステージでもお互い成長してやりたいなと思います」(安田)。「日本トップクラスの選手だなと感じました。自分はまだまだ。カテゴリが上がって、もう一回、リベンジ出来れば。切り替えて頑張ります」(土居)。

(取材・文 児玉幸洋)

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