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[MOM2763]大分FW谷川海翔(3年)_“7年前”に憧れた大舞台、トラップミスからアクロバット弾!

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アクロバティックな先制ゴールを決めた大分高FW谷川海翔(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 東邦高1-3大分高 等々力]

「大切なのは続けてミスをしないこと」。サッカー界ではたびたび強調される要素だが、そんな心掛けを体現するようなスーパーゴールだった。

 大分高FW谷川海翔(3年)は選手権1回戦の前半7分、右サイドからのクロスを右足でトラップ。逆足でのコントロールだったため、収めたボールは空中に浮いてしまったが、落ち際に対して今度は利き足を勢い良く振り抜き、豪快なボレーシュートをポスト脇に叩き込んだ。

「振り向きざまに行こうと思ったけどトラップが浮いてしまった。でも、左足に来たのでそのまま振り抜いた」(谷川)。小野正和監督が「練習でも見たことがない」と驚けば、MF山口卓己(3年)も「スーパーシュート」と笑みを浮かべるしかないほどのゴラッソ。もっとも本人は「人生で2番目くらい」と控えめに振り返ったが。

 試合当日の朝、小野監督と谷川は宿舎のエレベーターで偶然顔を合わせたという。「今日、やれるか?」と気合を込めた指揮官に対し、谷川は「ハイ!」と勢いよく返答。前向きな雰囲気は選手の間にも漂っていたといい、「負ける気がしないよねってみんなで話していた」(谷川)と自信はみなぎっていたようだ。

 ストライカーの先制弾で勢いに乗った大分は、さらに2点を追加して3-1で勝利。前回出場した2016年度に続いての初戦突破を果たした。当時1年生でベンチ入りしていた谷川は「2年前は3年生に連れてきてもらったけど、今年は3年生としてやってやろうという気持ちで来た」と経験を受け継ぐ構えだ。

 1トップの最前線を担う背番号9だが、ポゼッションスタイルを磨き上げてきたチームにおいては「起点となって攻撃をアシストする」という役割にも取り組む。映像で参考にしている存在はFWオリビエ・ジルー(チェルシー)。献身性もさることながら、アクロバティックなシュートにも“師匠”の影を感じさせた。

 目標は2011年度大会に成し遂げた同校最高成績のベスト4超え。谷川は当時小学5年生。福岡県豊前市に生まれ、隣接する大分県中津市のFC中津でプレーしていたが、強豪への憧れから付属校の大分中(大分市)へ進学することを決めた。そうして「ここに行きたいと思った」という夢の舞台にいま、立っている。

 最初の目標だった年越しを果たし、次の相手は優勝候補とも目されている大津高(熊本)。「センターバック2人が強くて、そこが強みだと言っていたので、自分が起点となってリズムを作りたい。そして、自分が点を取ることができれば優位に進められるはず」。プロ内定者を擁する九州の強豪に、自らのスタイルを見せつける。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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