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[新人戦]後半ATにMF佐藤が劇的同点弾!“公立の雄”大津が東福岡との宿敵対決をPK戦で制す!

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後半アディショナルタイム、大津高MF佐藤悠平(左)が劇的な同点ゴール

[2.18 九州高校新人大会準々決勝 東福岡高 1-1(PK3-4)大津高 大津町運動公園競技場]

 第40回九州高校(U-17)サッカー大会(九州新人大会)は18日午前、準々決勝を行った。前回大会決勝の再戦、東福岡高(福岡1)対大津高(熊本1)戦は1-1で突入したPK戦の末、大津が4-3で勝った。大津は準決勝でも宮崎日大高(宮崎2)に2-0で勝利。19日の決勝で大会2連覇を懸けて鹿児島城西高(鹿児島1)と戦う。

 今年、高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯プレミアリーグWESTに所属する高体連のチームは東福岡と大津だけ。九州だけでなく、高体連を代表する存在となっている2校による注目対決は大津が制した。

 0-1の後半アディショナルタイム、大津は交代出場のMF大島清(1年)が右サイドから中へ持ち込んで大外の左SB麻生恭平(2年)へ展開。麻生が中央へ折り返すと、走り込んだMF佐藤悠平(2年)が左足1タッチでゴール右隅に流し込んだ。

 佐藤の4試合連続となるゴールが決まった直後に後半終了の笛。それまでは互いに狭い局面を強引に攻めてボールを失うようなシーンが続いていた。その中で古閑健士監督が「ラストチャンスでようやく(外へ)広がりました。やっぱり外からなんだなと思いました」と評した大津の見事なサイド攻撃。そして、文字通り劇的だった同点ゴールによって大津がPK戦へ持ち込んだ。

 迎えたPK戦、先行・東福岡の2人目・終始安定した守備を見せていたCB松永京介(2年)のシュートがゴールマウスを直撃。苦しい展開となった東福岡だったが、GK野見山大(2年)が大津4人目・FW半代将都(1年)のシュートを左へ跳んでストップする。だが直後の5人目、大津はGK福山翔紀(2年)が、右へ跳んで東福岡の10番MF荒木遼太郎主将(2年)の右足シュートを完璧にストップ。直後にMF樋口堅大主将(2年)が右足で決めて大津が宿敵対決を制した。

 ともに負けたくないという思いが強く出た試合だった。より守備のアプローチが速く、球際で深く入っていた東福岡は、アンカーの位置に入った荒木やMF國府田駿(2年)のインターセプトからサイド攻撃に繋げ、優勢に試合を進める展開。1トップのFW田中角栄(2年)が正確なポストプレーやターンによって前線で主導権をもたらし、昨年のAFC U-16選手権優勝メンバー・荒木が非常に余裕のあるボールキープで相手の逆を取り続けていた。

 一方の大津は個々のタレントが抜きん出ていた昨年には及ばないが、「チームで戦うという意識がある。粘り強さが凄くある。しっかり守備をするということがベースになっている」(古閑監督)というチーム。選手権にも出場したMF濃野公人(2年)やゴールを決めているFW宮原愛輝(1年)を欠く中での大会となっているが、この試合でも福山やCB立野航海(2年)中心に粘り強く試合を進め、半代が一発のあるところを示していた。

 だが、後半、1タッチプレーをチャンスに繋げた東福岡が7分に先制点を奪う。右サイドをワンツーで打開。MF水野畝蓮(2年)のクロスをファーサイドのMF阿部静輝(2年)が頭で合わせ、こぼれ球を田中が左足で押し込んだ。

 それでも、大津はGK福島の好セーブなどで1点差を維持。そして、後半13分に投入された佐藤のキープ力などを活かして反撃し、試合終了間際の劇的な同点ゴールに繋げた。試合終了の瞬間、大津は一瞬喜びを爆発させた後、すぐに次の試合への準備をスタート。一方、東福岡の選手は多くの選手が涙を見せるなど、この試合への思いの強さを感じさせていた。

 大津のGK福島は「試合の前から結構みんな気合入っていた。ここで勝ったら大きいのでみんな気持ち入れて頑張りました」と語り、ライバル対決勝利を素直に喜んでいた。準決勝も樋口の2ゴールによって勝利。連覇に王手をかけた“公立の雄”は、地元で開催されている大会を笑顔で終える。

(取材・文 吉田太郎)

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