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[MOM2823]就実MF湯淺怜夫(2年)_圧巻のハードワーク。「全部行く」ファイター

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就実高MF湯淺怜夫主将はハードワークを貫いてチームを中国3位に導いた

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.18 中国高校新人大会3位決定戦 崇徳高 0-3 就実高 広島スタジアム]

 初出場校・就実高の選手たちは、3位決定戦を前に「4位と3位では全然違う。4位じゃ、岡山帰れないぞ」と檄を受けていたのだという。この3日間で4試合目。体力的に厳しかったことは間違いないが、選手たちは70分間を走り切った。その先頭に立って走り続けていたのが背番号5の闘将、MF湯淺怜夫主将(2年)だ。

 見る人の心を打つようなプレーをする選手だ。試合では相手ボールになると、ピッチの到るところに現れて「全部行く」。長い距離を走り切ってスライディングタックルを決めたかと思えば、こぼれ球に頭から突っ込んでいくようなシーンも見られた。全て全力でプレッシャーに行くため、アフターチャージを取られることもあれば、激しく激突して痛むこともしばしば。だが、ピッチに倒れ込んでも、タンカで運ばれてもチームメートたちはそれほど心配する素振りを見せない。チームのために走り、戦う主将がすぐに戻って、また走ることが分かっているからだ。

 3位決定戦を前に足首を痛めていた湯淺だが、この試合でも球際の攻防で誰よりも身体を張り、スライディングタックル、そしてスプリントを繰り返した。後半14分には彼のインターセプトから3点目のゴール。その後、競り合い後に倒れ込んで一度ピッチ外に出たが、治療を終えてピッチに入った瞬間、豪快なヘディングでクリアしたプレーも印象的だった。

「(連戦だったが)『気持ちで身体を動かせ』と言われて、そこをみんな意識してできたと思います。キャプテンなのでそういうところで見せて、持ち味も球際や身体を張るところだと思っているので、出せたと思います」。

 前日の準決勝(対立正大淞南高)ではプレッシャーが勢い余って、繰り返しのアフターチャージに。けが人が出ることを危惧する相手ベンチから、厳しい指摘を受けていた。だが、自分にはこれしかないとばかりに「全部行く」ことを止めず。試合には敗れたが、「あそこまで全部行ける選手はいない」と評価する立正大淞南・南健司監督から直接「オマエ、なかなか良いぞ」という賛辞とイエローカードを受けないための“秘策”を受けていた。

 そのハードワークによって、インパクトを残した選手だ。新人戦県決勝の敗戦後、チームメートに練習からもっとバチバチ行くことを求め、自身も「何か変えようと」丸刈りに。中国大会で仲間たちはファイトする特長を発揮し、自身も一際目立つプレーをしてのけた。本人も認めるように、パスの精度、技術面の課題はある。“就実のファイター”はその課題を改善しながら、練習、試合では誰よりも走ることを貫き、今年、背中で就実を全国初出場へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

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