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[戦評]本気モードに至らず(横浜FMvsバルセロナ)

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[8・7 横浜FM 0-1 バルセロナ(スペイン) 日産]

 バルセロナの「思惑通り」の90分間だった。パスを回して体力の消耗を防ぎ、魅せるところは魅せる。そして勝つ。シュートレンジまで入った選手は持ち味を出したシュートやさらに相手を崩す技を披露していたが、結局、最後まで底力を見せることはなかった。
 クラブは8月5日に中国で北京国安と親善試合を戦ったばかり。その直後に迎えた親善試合でベストプレーを期待するのは確かに酷だった。試合後、バルセロナのライカールト監督は横浜FMに健闘を許した試合内容にも「相手の動きが良かった。フィジカルは相手の方が上だった。でも我々も上がってきているし、とても良い試合ができたと思う」と納得の表情。ただそれもハードスケジュールの中では無理のないところだった。
 一方、J1再開を11日に控えた横浜FMは日本代表DF中澤が欠場し、先発メンバー6人を試合途中で入れ替えた。この試合にピークを持ってきたところでリーグ戦で結果を残さなければ意味がないだけに難しい試合だった。それでもDF陣がゴール前でぎりぎりのブロックを繰り返し、MF山瀬功の強烈なシュートがゴールを襲うなど、欧州の名門を驚かせる場面は作っていた。
 ただ、相手を本気を出させるまでには力が足りなかった。試合後、横浜FMの早野監督は「本気を出されなくて良かった。もっとすごいでしょう。それでも個人の違いを感じた」と振り返っていたが、その言葉にうなずくメディアが多かったことも確か。試合前にはバルセロナのクラブ歌が大音量で横浜FMのホームスタジアムに響き渡り、ゴール裏のスペースを除くとほとんどの席をバルセロナサポーターが埋め尽くしていた異質な試合は、バルセロナの思惑通りに終えた。
<写真>8月7日、サッカー、スペイン1部リーグのバルセロナが横浜F・マリノスと親善試合を行い、1―0で勝利。写真は、バルセロナのロナウジーニョ(2007年 ロイター/Toru Hanai)
(取材・文 吉田太郎)

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