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短い時間でも結果を残す…ユニバ代表で小柏剛が好調「決勝でも貪欲にゴールを」

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1ゴール1アシストの小柏剛

[7.11 ユニバーシアード準決勝 日本3-3(PK5-4)イタリア]

 開催国・イタリアとの対戦となった第30回ユニバーシアード競技大会の準決勝。地元の観客の、イタリアへの熱烈な声援を切り裂くように、縦への鋭い突破を見せたのがMF小柏剛(明治大3年)だった。

「日本の大学生と違って、相手にはあまりアジリティーがない」。初スタメンとなったグループリーグ第2戦のロシア戦でそう感じた小柏は、以降、自身の武器であるスピードを活かした縦への突破を強く意識する。今大会初めてとなる先制点を与えた2分後の同点弾は、そんな小柏の突破から生まれた。

 MF金子拓郎(日本大4年/札幌内定)からのパスを受け、相手DFをぶっちぎるとゴール前にマイナスにパス。「縦に突破してクロスを入れれば、中で合わせてくれる人はたくさんいる」という言葉どおり、MF児玉駿斗(東海学園大3年/名古屋内定)が右足で押し込み、試合を降り出しに戻した。

 一方で、自身の得点にも強くこだわる。ロシア戦では先制点をアシストし、たびたびチャンスを演出しながらも自らはノーゴールに終わっていた。「得点という結果を出さなければ」。そう決意したのは、途中出場となった初戦のアルゼンチン戦で、「ゴールから考えたプレーができなかった」という反省があるから。「この大会でいちばん悔しかったこと」と唇を噛む。

 準々決勝の韓国戦では、初戦と同じように後半35分前後にピッチに送り出されながら、交代直後にゴールを挙げ試合を決定づけた。松本直也監督も「短い時間でも結果を出してくれた」と小柏を評価する。だからこそ、この試合でもアシストにとどまらずゴールを狙い続けた。1-1で迎えた後半に、小柏は「明本選手と、一度背後に抜けるような形を試してみようと話をした」という。

 その直後「自分を走らせるような」ロングパスが明本から放たれると、小柏は待ってましたとばかりにトップスピードに乗り、相手DFを抜き去る。さらにGKと1対1を制すと、冷静にゴール右隅に流し込む。小柏自身にとっては2試合連続となるゴールを挙げ、逆転に成功した。

 結果にこだわるのには理由がある。今年の3月のデンソーカップチャレンジサッカー堺大会には全日本大学選抜のメンバーに選ばれながら、大会後の日韓定期戦のメンバーからは漏れた。だが「所属する明治大学で結果を出していれば、チャンスはあるはず」として、ひたすら研鑽(けんさん)する日々を送り、ユニバーシアード代表に選出された。今季の明大では、どちらかといえば後半の“切り札”的に役割を担うことが多いが、その経験も今大会で活きている。

 今大会のユニバーシアード代表は、文字どおり大学サッカーを代表するスター選手がそろった。なかでも前線は、A代表に選出されたFW上田綺世(法政大3年/鹿島内定)を筆頭に、U-22代表のFW旗手怜央(順天堂大4年/川崎F内定)とMF三笘薫(筑波大4年/川崎F内定)、昨年度関西リーグ得点王のFW林大地(大阪体育大4年)、FC東京内定のMF紺野和也(法政大4年)、札幌内定の金子など錚々たるメンツが揃っている。そんなオールスター集団に混じって結果を出すためには「どんどんシュートを打つしかない」と小柏。貪欲にゴールを狙う小柏の姿勢は、イタリアのメディアにも脅威に映たっのだろう。プレス席では、イタリア人記者から「オガシーワ」の名前がたびたび囁かれたという。

 もちろん、課題はある。この日の試合でも複数の決定機を決めきれず1得点にとどまった。最終的にPK戦にまでもつれ込んだことを思えば、追いつかれる前にイタリアを突き放すゴールがほしかったところだ。それでも、小柏の縦への突破とゴールへの姿勢が、この日のチームを牽引していたことは間違いない。だからこそ小柏は「決勝戦でも、貪欲にゴールを狙って結果を残したい」とラストマッチでのゴールを誓う。

(取材・文 飯嶋玲子)

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