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[MOM2941]名古屋U-18 MF倍井謙(3年)_覚醒続ける右足2発「“変わった”と言われるのが一番うれしい」

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自身2点目を沈めた名古屋グランパスU-18のMF倍井謙(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.29 日本クラブユース選手権U-18大会準決勝 京都U-18 1-5 名古屋U-18 味フィ西]

 過去3度にわたって4強の壁に阻まれてきた名古屋グランパスU-18を初めて夏の全国決勝に導いたのはMF倍井謙(3年)の右足だった。1-1で迎えた後半2分、敵陣左サイドからのフリーキックを直接沈めると、同21分には豪快なカットインシュートで2点目を記録。スコアラーに変貌を遂げつつあるテクニシャンが大会得点王も射程に入れてきた。

「僕は去年からプレーが変わったと言われるのが一番うれしい。今季はずっと攻撃的な選手になりたいと思ってやっているので」。

 昨季までの持ち場は守備的MF。持ち前の『止める・蹴る』の技術を活かしてトップチームに2種選手登録され、天皇杯ではベンチ入りも経験した。しかし、Jリーグの試合に出られるわけでなければ、U-18が参戦する高円宮杯プレミアリーグWESTでも控え選手という立場。「プレーに悩んでいることが多かった。パスの選択が多かったけど、あまり評価してもらえていなかった」と素直に明かす。

 ならば、プレースタイルを変えていくしかない。「中盤でさばいたり、前につけたりすることはできていたけど、よりゴールに直結するようなプレーを意識している」。今季は左サイドハーフを任されるようになったため、よりゴールに近いポジション。もともと持っていた技術を得点につなげるべく、意識改革を自らに課していった。

 そうした成果がようやくこの夏、「ようやく身になってきている」という。今年6月上旬、全国出場権を争う東海予選・磐田U-18戦で2得点を挙げて本戦出場に大きく貢献すると、高円宮杯プレミアリーグWESTの再開後は2試合連発。さらに全国本戦ではグループリーグ開幕節、準々決勝でともにチームを勝利に導くゴールを決めてきた。

 そして迎えた準決勝、まずは後半2分に直接FKから勝ち越しゴールを奪った。「速いボールを触っても触らなくても入るコース」に放たれたボールは、ゴール前の誰も触れられないままファーポスト脇へ。さらに同21分にはMF田邉光平(3年)の斜めのパスを受け、ミドルレンジから豪快な右足カットインシュートを突き刺した。

 これがまさに今季積み重ねてきた意識が結実した一発。この日の2点目を振り返った倍井は「僕が理想としている形というか、中盤のセンターラインからボールを受けて、個人からゴールにつなげられるというのが自分が目指していたプレー。今日はそれができたので、今までの中でも良いゴールだったと思う」と手応えを隠さなかった。

 だからこそ、この好感触を続けていくつもりだ。今大会では得点ランク首位の5得点まであと1点に迫っており、「決勝で狙える位置にきている」ともう一つのタイトルにも意欲。31日の鳥栖U-18戦に向けて「サッカーを始めてから決勝に行くのは初めてだし、優勝したことがないのでワクワクしている。思い切りチャレンジしていきたい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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