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[戦評][全国高校選手権予選]苦戦した局面を最後に打開した流経大柏(流通経済大柏vs市立船橋)

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[12.09 第86回全国高校サッカー選手権千葉県大会決勝 市立船橋 0-1 流通経済大柏 柏の葉]

 全国高校総体王者の市立船橋と全日本ユース選手権優勝の流通経済大柏が戦った千葉決勝。日本一校同士が予選決勝で対決するという今年の全国選手権予選最大の注目カードを制したのは流通経済大柏だった。0-0で迎えた後半終了間際、「(監督から)ペナルティエリアで勝負すれば絶対に相手は崩れると言われていた」という途中出場の流通経済大柏FW久場光(2年)が思い切ったドリブル突破で左サイドから切れ込む。そしてDFを置き去りにして一気にスピードアップ。この日ほぼ完ぺきに抑え込まれていた敵陣ペナルティエリア付近の攻防戦を背番号24の2年生FWが打開した。久場のシュートはGKに弾かれたものの、DFのクリアボールに反応したFW上條宏晃がダイレクトボレーで合わせると、シュートはゴール右隅へと吸い込まれた。流通経済大柏ベンチから選手、スタッフが一斉に飛び出し絶叫。上條は「勝つことしか考えていなかった。無我夢中だった。うれしかった」と喜びを爆発させた。

 今年度の高校年代最高峰の戦いとも言える一戦は華麗な攻撃よりも、球際での激しいプレスや競り合い、体を張ったプレーなどが目立つ試合となった。ボールは落ち着かず、シンプルな攻撃を選択する場面が多かった。風下の前半は守備重視の作戦を選択していた流通経済大柏は上條や清水入団内定のFW大前元紀(3年)が鋭い突破から好機を作り出すが、前半はシュートわずか1本。試合の主導権を握っていたのは市立船橋の方だった。市立船橋はU-18日本代表の左MF渡部雄史(3年)の突破力や同じくU-18日本代表のMF加藤弘堅(3年)のアイディアを生かした攻撃で前半から優勢に試合を進め、後半19分にはMF若狭友佑(3年)がクロスバー直撃のミドルシュート。さらに35分には若狭がゴール至近距離から決定的なシュートを放った。しかしこのシュートを流通経済大柏GK須藤亮太(3年)にはじき出されるなど、チャンスを生かしきれず。逆に後半16分の久場、MF田口泰士(2年)の同時投入後、前線の4人が果敢にポジションチェンジを繰り返していた相手に最後の局面で崩され失点。全国へたどり着けなかった。

 大前が「挑戦者という気持ちで臨んだ」という決勝を制するため、流通経済大柏は、学校の試験期間中ながら決勝直前合宿を一週間かけて行い、市立船橋対策を徹底。幾度かのピンチはあったが、対策通り、相手のアタッカーに両サイドをえぐられる場面はなかった。そして0-0からでも攻撃カードを一気に切る“いつも通りの”積極策で勝利を呼び寄せた。本田監督は「うちがやられてもおかしくない、うれしいけど厳しい試合だった」とほっとした表情だったが、「(これまで)千葉をどう抜け出すかということだけ考えていた。(全国の)優勝旗をもって帰りたい」。優勝候補筆頭として臨む全国大会での優勝を誓っていた。

<写真は優勝を喜ぶ流通経済大柏イレブン>
(取材・文 吉田太郎)

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