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勇気を持ってC大阪U-18から興國高へ“移籍”、CB挑戦…坂本稀吏也が山形内定

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15日、興國高のJリーグ入団内定者合同会見に出席したモンテディオ山形内定CB坂本稀吏也

 モンテディオ山形は15日、興國高(大阪)に所属するCB坂本稀吏也(3年)の22年シーズン新加入内定が決まったことを発表した。坂本は昨年までFWとしてプレーしていたが、今年4月にC大阪U-18から興國へと移籍してからはDFとしてプレー。184cmの高さとフィジカルの強さを活かし、ボランチや左SBとしてもプレーできる将来性十分な選手だ。

 勇気を持って踏み出した一歩が、Jリーガーとしての道を切り開いた。C大阪西U-15でプレーしていた中学時代から大型で左利きのストライカーとして注目を集めてきた。C大阪U-18へと昇格した1年目にも大阪府国体選抜のメンバーに選ばれる選手だった。

 最終学年を迎えた今年は主軸としての活躍が期待されていたが、新学期を迎えた直後に在学していた興國への“移籍”を決意した。理由について、坂本はこう話す。「セレッソではフィジカルを鍛えられたし、今年から取り組んでいる風間(八宏)さんのパストレーニングも自分のためにはなった。でも、自分がもっと成長するために興國のポゼッションとか頭を使うサッカーを経験したかった。そうすれば、自分個人としての価値が高められるかなと思った」。

 C大阪時代も目を惹くプレーをしていたが、恵まれたフィジカルに頼る部分も多かった。そのため、“移籍”当初は戦術的な要素が多く含まれた興國のトレーニングに戸惑いの色は隠せなかった。「最初はとにかく必死でやっていました。付いて行くだけでも必死やし、頭を使うという所も必死。その中でも、周りから見て学んでというのを必死に取り組んでいました」

 今年の興國には、川崎内定のMF永長鷹虎(3年)、山形内定のMF荒川永遠(3年)には実力派のアタッカーがズラリと並ぶ。1年生ながら、10番を背負うU-16日本代表候補のFW宮原勇太(1年)も3トップの一角を争うライバルの1人。それぞれ明確な特徴を持ちながらも、日々のトレーニングで戦術理解度も高まっているため、初めて彼らのプレーを間近で見た際は衝撃を受けたという。「興國は個が凄いです。セレッソも個が強いのですが、また別種類の個を持った選手がいるので、かなりビックリしました。個の能力を持つだけでなく、頭を使える選手が多かった」

 興國に入ってからは恵まれた身体能力と左足からパスセンスを買われ、左SBとボランチとしてプレーした。だが、8月に入ってからは怪我人が相次いだCBにコンバート。慣れないポジションではあったが、CBとしてのデビュー戦となったプリンスリーグ関西で好プレーを披露した。以降は、CBとしての先輩である主将のDF田上涼太(3年)やDF西川楓人(2年)の特徴を練習から上手く盗み、新たなポジションを自らの物にしていった。

 ポテンシャル十分な坂本を見逃さなかったのは山形だ。今季途中からは、興國出身のMF樺山諒乃介が横浜F・マリノスからのレンタル移籍で加入した縁もあり、10月に入ってから彼をチェック。渋澤大介強化部長補佐がプレーにほれ込み、すぐさまオファーを出した。直後にはJ1クラブからもオファーが届いたが、「後ろからビルドアップをしていくスタイルが自分に合っていると思った。山形はご飯が美味しいのも決め手。特につや姫が美味しかった」と坂本は山形入りを決意した。内野智章監督は「これからプロに行って僕らの想像を超える選手になってくれるんじゃないかと思っている」と期待を寄せる。

 現在の目標は、スペイン代表のDFパウ・トーレス(ビジャレアル)。「同じ左利きで、キックの精度が凄い。守備も出来るし、点も決められる。何でもできる選手。スペイン代表の中でも、自分の個を発揮出来ているので、僕の目標です」。移籍を機に持っていたポテンシャルの高さが活かせるようになり、目標として、高卒でのプロ入りを達成したが、ここが終着点でないことは理解している。「プロが自分の第一のステップであって、そこから試合に絡んでいきたい。今が終わりじゃなくて、どんどん上に目指していきたい」。秘めたポテンシャルの高さは間違いない。これから坂本がCBとしてどこまで成長できるか、多くの人が期待している。

(取材・文 森田将義)
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