[4.15 J2第8節 栃木0-0徳島 西が丘]

　0-0のスコアレスドローという結果に栃木SCの松田浩監督の嘆きは止まらなかった。開幕から8試合で奪った総得点はわずかに1。この日も主導権を握り、試合を優勢に進めながらゴールが遠かった。

　これまでのオーソドックスな4-4-2から、FW松田正俊とMF栗原圭介が縦関係の2トップを組む4-4-1-1とも言えるシステムに微調整した。本来はFWの河原和寿を右サイドに置く攻撃的布陣。メンバーリスト上の表記は松田、河原、入江利和の3人をFW登録にした4-3-3で、選手に対し攻撃的なメッセージを強く植え付けた。

　「4-3-3と書いても嘘ではないかなと。河原と入江がウイングになれば4-3-3だし。4-3-3と書くことで点が取れるなら、それはそれでいいし、わらにもすがる思いだった」と、その心境を吐露した。

　185cmの松田が前線で体を張ってポストプレーをこなし、2列目に入った河原も豊富な運動量で前線に飛び出し、相手守備陣をかく乱した。左サイドの入江もスピードのある突破と精度の高いキックでチャンスをつくった。前半には河原が2度のチャンスを迎え、後半44分にも途中出場のFW稲葉久人に決定機があった。持ち味は十分に発揮した。それでも決定力を欠き、ゴールネットを揺らせなかった。

　「点を取るために何をしていくのか?」。記者会見でそう聞かれた指揮官は「シュート練習をすればいいかと言うと、何代か前の代表でそんなこともあったが、それだけじゃない。点が取れない呪縛を感じないことが一番」と強調した。

　「思い切って行けばいいのに、大事にしすぎるところが前半もあった。練習でもメンタルの意味で自信を付けるためにやるのが大きい。自信、責任感、気迫を持ってやってもらいたい。委縮せず、ミスを恐れずやっていく。一生懸命やるしかない」。松田監督は神妙な顔つきでそう語っていた。

<写真>栃木の松田監督
(取材・文　西山紘平)