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[高校選手権]10人の八千代、途中出場MFの豪快弾で4強勝ち取る:千葉

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[11.23 全国高校選手権千葉県大会準々決勝 千葉敬愛 0-1 八千代 市原]

 第88回全国高校サッカー選手権千葉県大会準々決勝の千葉敬愛対八千代は退場者を出し10人での戦いを強いられていた八千代が、途中出場のMF朝木伴幸(3年)の決勝ゴールにより、1-0で勝利。ベスト4進出を決めた。

 苦しんだだけにその一発の歓喜は大きかった。昨年の県大会で決勝進出した主力メンバー7人を残す八千代は、今年日本高校選抜の監督を兼任していた砂金伸監督が「(全国選手権4強へ進出した3年前に)匹敵する。守備はより洗練されていると思う。(千葉県を)抜けたら全国でもいいところまでいけると思う」と自信を見せる期待のチームだ。

 だが、決勝トーナメント1回戦から3週間の間隔が空いたこの日の試合は苦しんだ。エースのMF長澤和輝(3年)のドリブル突破や左SB宇田川卓馬(3年)のオーバーラップなどからチャンスはつくったが、サイドまではボールを運びながらもその攻略に苦戦し、ラストパスの精度を欠くなど1点を奪うことができなかった。

 この展開を打開するために八千代は後半7分、左足捻挫の影響などでベンチスタートとなっていた10番・FW石川誠也(3年)をピッチへと送り出した。だが6分後の後半13分、前線を走り回っていたFW磯部晃(3年)が相手DFと交錯した直後のプレーを乱暴行為ととられ、一発退場。統率されたDFラインと左SB後藤賢人のドリブル突破やCB我妻貴光(ともに3年)のクロスバー直撃の弾丸FKなどで食い下がっていた千葉敬愛は数的優位に立ったことで攻撃を加速させた。サイドの裏を取る場面を増やし、途中出場のFW松浦孝則(3年)が決定的なシュートを放つなど、試合の主導権を握っていった。

 対する八千代はカウンターから石川と長澤のコンビがDFの裏を取ろうとするも、効果的な攻撃をすることができない。それでも後半25分にMF高橋昂平(3年)と朝木を同時投入。サイドハーフ2人を入れ替える攻撃的な交代策で勝負に出ると、これが的中した。
 高橋がスピードに乗った突破から右サイドをえぐりチャンスメーク。そして31分だ。右CKを得た八千代は朝木が得意の左足でキック。こぼれ球をつなぐとボールを右サイドで得た朝木がコントロールから「中途半端なことをするとカウンターを受けてしまう」と思い切った左足シュートを放つ。鋭く振り抜かれた左足により撃ち抜かれたボールは、あっという間にゴールネットへと突き刺さるスーパーゴール。苦しんだ末に得た待望の1点にイレブンは喜びを爆発させた。

 この後、八千代は石川のキープから朝木が放った素晴らしい左足シュートが枠を捉えるなど、攻める千葉敬愛の裏をとって決定機をつくると、守備陣は安定したセービングを見せるGK永村達郎や1ボランチのMF黒氏啓介(ともに3年)中心に同点ゴールを許さない。PA周辺でファウルをとられる場面もあったが集中した守備で1点を守りきった。

 試合後、長澤は「1人少ないから集中力がきれないように声を掛け続けた。今回の選手権で一番キツイ試合だった」と振り返った。本来ならば力任せではない、バリエーションに富んだ攻撃を繰り出すことが出来る八千代だが、この日は評判通りの強さを披露したとは言い難い。それでも我慢の試合を途中出場MFの一発で勝ちきり、昨年あと一歩で届かなかった全国への階段をまたひとつ上った。

<写真>後半31分、決勝ゴールを決めたMF朝木(中央)に八千代イレブンが駆け寄る
(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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