beacon

[高校選手権]U字工事の激励に応えた!矢板中央が栃木県勢24年ぶり4強

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.5 全国高校選手権準々決勝 広島観音1-2矢板中央 駒場]

 矢板中央(栃木)が広島県勢の大会連覇を止めた。広島観音(広島)との準々決勝は後半6分にFW山本邦彦(2年)に先制ゴールを許したが、同16分に途中出場のMF島野一也(2年)、同30分にMF益子直樹(3年)のゴールで2-1と逆転勝ちした。

 「信じられない気持ちでいっぱい。広島観音のような素晴らしいチームと対戦できたこと自体、夢のようだった」。高橋健二監督はかすかに目を潤ませ、興奮冷めやらぬ様子で話した。

 過去2回の出場はともに2回戦負け。3回戦進出も初めてだった矢板中央は「ベスト8が目標だった」(高橋監督)というが、3回戦も準々決勝も突破し、ついに国立競技場での準決勝にたどり着いた。

 この日も粘り強く戦った。前半のシュート数は1対5。相手に主導権を握られながらも、前半33分のMF柳田優介主将(3年)のミドルシュートはGK三浦拓(2年)が好セーブで弾くなど守備陣が我慢強く耐えた。

 矢板中央の狙い通り、前半は0-0で折り返したが、前回大会王者の広島皆実を県大会で破ってきた広島観音も底力を見せる。後半6分、DF小林祐輝(3年)の左クロスを山本がヘディングで捉え、先制点を叩き込んだ。

 矢板中央にとっては今大会初めて許した先制点。それでも慌てなかった。後半16分、益子直がドリブルでPA内に切れ込むと、混戦からこぼれたボールを島野が左足で押し込み、同点。さらに後半30分、今度は島野のスルーパスをフリーで受けた益子直がダイレクトで左足を振り抜き、GKの手を弾いて逆転のゴールネットを揺らした。

 益子直は「後半は自分たちの方が走れるのが分かっていた」と胸を張る。県総体準々決勝で敗れてから、とにかく走り込んだ。グラウンドの周りにある田んぼ道を毎日10km走り、グラウンドに戻ってからはダッシュを繰り返した。「練習試合の日でも、Bチームが試合をしているときは走っていた」。どんな相手にも走り負けない自信があった。

 実はこの日、地元の栃木テレビが栃木出身の人気お笑いコンビ、U字工事の激励コメントを撮影した映像を試合前に選手全員で見た。持ちネタの「ごめんね、ごめんね~」にかけた「頑張れ、頑張れ~」というメッセージを聞き、「みんなリラックスできた」(益子直)と緊張感もほぐれ、いつも通りのプレーをすることができた。

 栃木県勢としても85年度大会の宇都宮学園以来、24年ぶりの4強進出だ。前回大会は前橋育英(群馬)と鹿島学園(茨城)が準決勝進出。「群馬と茨城の代表が4強に行って、真ん中にある栃木だけが結果を出せてなかった。自分たちも頑張ろうと選手を送り出した」と高橋監督。その2チームには肩を並べた。今度はさらに上、決勝進出を目指す番だ。

<写真>逆転ゴールを決めた矢板中央の選手たちが喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

TOP