beacon

[高校新人戦]新生・八千代、逆転勝利で初陣飾る

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.16 千葉県高校新人大会3回戦 八千代 3-1 柏井 八千代G]

 新生・八千代が逆転勝利で初陣を飾った。16日、平成21年度千葉県高校新人サッカー大会3回戦が行われ、第88回全国高校サッカー選手権16強の八千代は新チーム初戦で柏井と対戦。前半10分に先制される苦しい展開だったが後半の3得点により3-1で勝ち、準々決勝へ進出した。

 全国選手権3回戦敗退から2週間。引退した3年生たちが見守る中で初戦に臨んだ新生・八千代の船出は苦しいものだった。先発11人のうち、選手権経験者はMF齋藤昂太とFW大和久弘樹主将、DF中谷幸葉(ともに2年)の3人だけ。一方で選手権は登録メンバー外だった選手も4人いた。経験不足を危惧されていたがその不安が的中。前半10分、自陣で柏井FW松田拓也(1年)にパスを奪われ、そのスルーパスで抜け出したFW川村光慶(1年)にあっさりと先制ゴールを許してしまう。

 昨年のチーム同様、徹底してボールをつなぐ八千代は2人、3人の連動した動きでDFを剥がすと、齋藤、土佐倖太郎(1年)のダブルボランチが果敢にシュートを放っていく。だが、攻撃が中央突破に偏重したことで、攻め込んでも身体を投げ出すかのようにして守る柏井の上田康平(1年)と野上翔太主将(2年)の両CBらにより、勢いがストップ。前半ロスタイムに右クロスからFW荒牧航平(2年)が放ったヘディングシュートもクロスバーを叩き、リードされたまま前半を終えてしまった。

 それでも八千代は後半開始から左MF柳澤圭と右SB濱田康平(ともに1年生)を同時投入。前半有効でなかったサイド攻撃に変化を加えると13分、齋藤の展開から中谷が右サイドを打開し、ラストパスを送る。中央で粘った1年生FW福山知秀が右足シュートをねじ込み同点に追いついた。わずか2分前に投入されたばかりのFWのゴールでようやく笑顔が見えた八千代イレブン。24分にはエース・大和久が右へ流れながら右足シュートを突き刺し、勝ち越しに成功した。

 柏井は28分から足元に優れた10番のFW川崎尚之とFW此元正和(ともに2年)を同時投入。巻き返しを図るが八千代は34分、左FKのこぼれ球を1年生CB岡村真紀が豪快な右足ミドルを叩き込み勝負を決めた。

 八千代の昨年のチームは、全国選手権で優秀選手に選出されたMF長澤和輝やFW石川誠也(ともに3年)ら半数以上が2年生からレギュラー。クレバーさも備える好選手たちがピッチ上でクオリティの高いサッカーを披露し、プリンスリーグ関東では1部昇格、3年ぶりの全国選手権切符ももぎ取った。だが、現2年生はコーチングスタッフたちから「来年大丈夫?」と厳しい言葉を投げかけられてきた世代。この日の試合は低調で、齋藤も「思っていたもの以下だった」と首を振った。だが、選手たちにも意地がある。齋藤は「昨年みたいなタレントはいない。でもまだ始まったばかり。先輩たちを越えられるように、みんなで力を合わせて頑張りたい」と誓った。

 1月5日の全国選手権3回戦で関大一(大阪)に負けた八千代は同大会の準決勝が行われた9日、“裏準決勝”と題して同じく選手権で敗退していた前橋育英(群馬)と練習試合を行い、2-4で敗戦。翌日に行った四日市中央工(三重)戦は大和久の2発により2-1で勝ったものの押し込まれる展開だった。
 全国レベルを肌で感じたことで“先輩越え”が簡単な目標でないことを思い知った。ただ、砂金伸監督は「時間かかっても今年(引退し3年生のチーム)のように勝負できるようにしたい」。新チーム発足に伴い、「新人戦優勝」や「高円宮杯出場」といった、選手の立てた目標に対し「まず自分たちに何が足りないか知ることから」と諭したという。結果だけを追い求めるのではなく、しっかりと過程を踏むこと。齋藤が「遅いくらいだけど、最近ようやくみんな変わってきた」というように、目標をしっかりと持って自主練を行うなど変化してきているという2年生中心に、新生・八千代イレブンは“先輩越え”を目指し一歩一歩前進していく。

<写真>引退した3年生たちが見守る中、ゴールを決めた八千代DF岡村(右)が歓喜のダッシュ 
(取材・文 吉田太郎)

TOP