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[高校新人戦]流通経済大柏、延長戦制し「新チーム無敗」守る:千葉

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[1.22 千葉県高校新人大会準決勝 流通経済大柏 3-2 習志野 市原スポレクパーク]

 22日、平成21年度千葉県高校新人サッカー大会準決勝第2試合で流通経済大柏と習志野が激突。延長後半2分に1年生FW呉屋大翔が決めた決勝ゴールにより、流通経済大柏が3-2で勝ち、23日に行われる決勝(対敬愛学園)へ駒を進めた。

 新チーム無敗の流経大柏が残り1分の同点劇から逆転勝ちをおさめた。試合は前半5分、右SB八角大智(2年)が左サイドから豪快な右足FKをゴール右隅へと突き刺し、流経大柏が先制。その後も、厳しいプレッシャーで主導権を握った流経大柏は、前線に張るFW三渡州舞人(2年)の力強いポストプレーと左サイドから思い切った突破を試みるMF進藤誠司(2年)らによるサイド攻撃で優勢に試合を進める。前半37分に左CKから188cmの大型CB増田繁人主将(2年)が放ったヘディングシュートはクロスバーを叩いたが、1点をリードしたままハーフタイムを迎えた。

 だが後半、習志野がセットプレーを生かして試合をひっくり返す。まずは5分、ゴール正面、ゴールまで約30mほどの位置からのFK。これをDF女鹿遼治(2年)が打点の高いヘッドで合わせる。これは流経大柏の09年U-17日本代表GK松澤香輝(2年)に阻まれたが、こぼれ球にいち早く反応したFW小林大祐(2年)が右足でねじ込み同点。さらに習志野は16分、右CKのこぼれ球を拾ったMF中村駿(1年)が右サイドから切れ込みラストパス。ファーサイドからフリーで飛び込んだ小林が再び右足でゴールへと押し込み、逆転に成功した。

 習志野は勝ち越しゴールのわずか3分後に女鹿が2枚目の警告を受けて退場。数的不利を強いられたが、それでもミスを犯さず、相手の猛攻を巧みにかわしていく。1点のリードを保ったまま順調に試合を締めにかかっていた。だが、流経大柏は試合終了直前の後半39分、左スローインから中央へパスを送ると、味方のスルーによりマークが外れた1年生FW中村慶太が左足シュート。後半開始から投入され、鋭いドリブルで脅威となっていた1年生アタッカーの強烈な一撃がゴールを破り、土壇場で同点に追いついた。

 これで蘇った流経大柏は延長後半2分、右サイドから仕掛けた中村が中央へ絶妙なラストパス。これを延長戦前半開始から投入されていた10番・呉屋が押し込み、逆転。クロス、セットプレーから何とかゴールへとなだれ込もうとする習志野の追撃をかわし、3-2で逃げ切った。

 今大会、準々決勝までの4試合で38得点。圧倒的な強さで勝利を重ねていた流経大柏だったが、この日は名将・本田裕一郎監督が「新チームで一番できなかった。前日の練習が軽すぎたかな」と振り返る“ワーストゲーム”だった。相手のロングボールには対応していたが、セカンドボールを拾えず、思い通りに試合を運べなかった。だが、交代出場した1年生コンビのゴールで逆転勝利。12月末に行われたオーシャンフィールドカップ(茨城)、1月上旬に全国高校選手権に出場できなかった強豪を集めて行った時の栖カップ(静岡、通称“裏選手権”)をともに制しているチームは、劇的な勝利で新チーム(Aチーム)の無敗を守った。

 増田主将は「新チームは無敗。これまで(20試合ほど戦って)リードされたことも1度か2度くらいだったけど、あきらめずにやったこと、そしてあそこで追いつけたことは大きい」と勝ちきった試合に手応えを深めた様子だった。中学時代に各チームのエース級だった選手が集う全国屈指の名門は、指揮官が「今年は楽しみ」と口にするほどのハイレベル。昨年は年間を通してメンバーが固まらず、全国総体で食中毒のアクシデントに見舞われる不運もあり、全国大会で1勝もすることができなかった。だが、今年はある程度メンバーを固定してスタート。各地のフェスティバルで全国レベルの強豪を連破してきた。
 この日は苦戦したが増田主将は「今年は個人能力が高いと思うし、レベルの高いところとやっても勝てる自信がある。目標は全国3冠。新人戦で負けるわけにはいかない」。07年度には全日本ユース選手権と全国高校選手権を制し、08年度は全国高校総体優勝。その先輩たちを上回る全国3冠(全国高校総体、全日本ユース選手権、全国高校選手権)がチームの目標だ。
 関係者の話によると、千葉県の県新人戦は来年以降、8チームの優勝校を決めるブロック大会のみとなる可能性があるというだけに、流経大柏は“最後”の県新人戦を制して復活の1年への弾みをつける。

<写真>延長後半2分、決勝ゴールを決め笑顔の呉屋(左から2人目)ら流通経済大柏イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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