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[大学]主導権渡すも勝利渡さず、大学王者が3連勝(明治大vs国士舘大)

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[4.24 関東大学1部第3節 明治大 1-0 国士舘大 西が丘]

 明治大が開幕3連勝で単独首位に立った。24日に東京・国立西が丘サッカー場で行われた第84回関東大学サッカーリーグ1部第3節、1月の全日本大学選手権優勝の明治大対国士舘大は、後半45分にDF奥田大二郎(3年=東京Vユース)が決めた決勝PKにより、明大が1-0で勝利。明大は同じく3連勝の中央大を得失点差で1点上回り、単独首位に浮上した。

 後半45分、明大・神川明彦監督が「全幅の信頼を寄せている」というキッカー、奥田がPKを冷静にゴール右へと沈める。国士大のアグレッシブなプレッシングと素早いパスワークに試合の大半の時間帯でボールを支配された明大が、終了間際の1チャンスを活かして勝ち点3をもぎ取った。

 試合の主導権を握っていたのは国士大だった。昨年はMF柏好文(現甲府)ら各ポジションに好タレントを擁しながら戦いぶりが安定せず6位。開幕戦では早稲田大に0-2で敗戦、と今季も決して満足のいくスタートを切った訳ではなかった国士大だが、この日は明大に「予想していたよりも強かった。モチベーションが高くて驚いた」と慌てさせる試合を展開する。
 ダブルボランチが明大のゲームメーカー、MF小林裕紀の動きを封じ、また左サイドのエース・山田大記の後方のスペースをMF金子昌広(2年=正智深谷高)と右SB大竹隆人(4年=三菱養和SCユース)が徹底して突いていく。また国士大のキーマンとなっていたのが2トップの一角としてフル出場した吉野峻光(3年=静岡学園高)だ。ボランチとして08年にU-19日本代表にも選出されていた吉野は中盤に下がってパスワークの基点となると、後半には静学仕込みの個人技で明大のDFブロックに強引に穴を開けた。

 ただ、国士大は決定機を活かすことができない。前半21分にはMF生方翼(3年=千葉国際高)の左アーリークロスをFW岩崎晃也が合わせるがシュートはクロスバーを直撃。後半もPAには迫るもののラストパスとシュート精度を欠き、明大の名手・GK高木駿(3年=東京Vユース)の守るゴールをこじ開けることができなかった。

 そして苦しい時間帯が続いても「ウチには(優勝した)昨年の財産がある」と神川監督が話す明大の勝負強さを思い知ることになる。左足に違和感を感じた山田が前半終了とともに交代した明大は、FW久保裕一(4年=名古屋U18、ジェフユナイテッド千葉特別指定選手)とFW山本紘之(4年=柏U-18)の2トップが執拗にDFの背後を狙うものの効果的な攻撃ができなかった。だが、DFリーダー楠木啓介(3年=鹿児島実高)不在のDF陣が不安を全く感じさせない安定した守備で、要所を締めて国士大に1点を与えない。

 久保の献身的な守備や最終ラインの奮闘などで、押し込まれる展開にも守った明大は試合終了間際にできた、相手の一瞬の隙を逃さなかった。カウンターから右サイドを駆け上がったMF宮阪政樹(3年=F東京U-18)がDFの背後へボールを落とすと、後半開始から途中出場していたMF三田啓貴(2年=F東京U-18)が飛び出してきたGKのファウルを誘いPKを獲得。奥田の決勝ゴールを呼び寄せた。

 特に後半は、ほとんどの時間帯を相手陣内でプレーしていた国士大の細田三二監督は「勝たせてあげたかった。凌いで勝っちゃうチーム(明治大)は強い」と無念さを滲ませた。一方、受け身だった試合で勝ち切った明大の小林は「我慢の90分間だった。でもあきらめなかったところ、3連勝したいという気持ちを出せた。(チャンスは得点場面の)一発気味だったけど、みんなが献身的にやってくれたことが勝利につながった」。山田、小林、久保、山本ら全日本大学選手権優勝メンバーがほぼそのまま残る今年の明大。勝利の味を知るチームが「常に勝ちにこだわる」(小林)姿勢とその勝負強さで大苦戦を勝利に変えた。

<写真>勝利を讃えあう明大・久保(中央)と高木(右)
(取材・文 吉田太郎)

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