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西村主審と相樂副審が帰国会見、「このメダルは日本のメダル」

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 W杯南アフリカ大会で審判員を務めた西村雄一主審と相樂亨副審が16日、都内のJFAハウスで報告記者会見を行った。ジョン・ヘサン副審を含めた日韓トリオ3人でグループリーグ3試合と準々決勝のオランダ対ブラジルの計4試合を担当したほか、第4の審判員、リザーブ副審(第5の審判員)として日本人で初めてW杯決勝の舞台にも立った。

 西村主審は「私たちのチームには、選手のために全力を出し切り、全身全霊でひとつひとつの判定に集中してやっていくという変わらない目標がありました。それぞれの試合で、その目標は達成できたかなと思っています」と大会を振り返り、充実感ものぞかせた。

 決勝後はイングランドのハワード・ウェブ主審らとともに表彰され、メダルも授与された。「多くの方々の励ましに支えられて、この大会を乗り切ることができた。皆さんに感謝していますし、このメダルは日本のメダルだと思っています」と強調。相樂副審は「どの試合も変わらないし、毎試合が決勝だと思ってやってきましたが、決勝でメダルをかけてもらったときは、実際にここで(副審として)やりたいという気持ちになったのは事実です」と、さらに刺激も受けた様子だった。

 オランダ対ブラジルでは後半28分にFWロッベンを踏みつけたMFフェリペ・メロにレッドカードを提示した。その毅然とした対応と的確なジャッジも高く評価されたが、西村主審は初めてそのときの状況を明かした。

 「レフェリーも試合前にゲームプランを立てています。ブラジルがリードしていたら、こうコントロールしようとか、逆にオランダがリードしていたらどうかなど心理的な準備はしていた。あのレッドカードはたまたま見えたのではなくて、その前にオランダが逆転していた状況で、ブラジルの選手にああいうことが起こるのではないかと、しっかり心理的な準備ができていた。それで見えたプレーだった」

 ブラジルのベンチにはかつて磐田でもプレーしたドゥンガ監督がいた。相樂副審は「ドゥンガ監督はずっと僕に聞こえるように日本語で文句を言ってきた。“あなたは間違ってる。いつもあなたは間違ってる”って。まだ日本語覚えているんだなと思って、逆に腹は立たなかった」と笑わせ、「後半は元気がなくなって、声も出なくなってた。負け出してからの指示が必要だったんじゃないですかね」と、冗談交じりにブラジルの敗因?を指摘していた。

<写真>W杯決勝のメダルを手に笑顔の西村雄一主審(左)と相樂亨副審

(取材・文 西山紘平)

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