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[全国総体]「夏のイチフナ」関東対決制し、7度目V王手!(市立船橋vs桐光学園)

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[8.6 全国高校総体準決勝 市立船橋 1-0 桐光学園 具志川多種目球技場Aコート]

 平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」は大会5日目の6日、うるま市の具志川多種目球技場A、Bコートで準決勝を行った。最多6度優勝の市立船橋(千葉2)と日本代表MF中村俊輔(現横浜FM)を擁した96年以来となる4強進出を果たした桐光学園(神奈川1)との一戦は後半32分、得点ランキング首位タイのFW和泉竜司(2年)が決めた決勝ゴール(今大会6得点目)により市立船橋が1-0で勝利。市立船橋はあす7日、7回目の全国制覇を懸けて与那城総合公園陸上競技場で滝川二(兵庫)と決勝を戦う。

 「夏のイチフナ」は健在だった。試合終了とともにMF河崎敬とDF山野辺大樹がこの日累積警告で出場停止だった10番、MF藤橋優樹(3年)の元へ駆け寄って喜び合う。ゲームメーカー不在ながらも5月のJFAプリンスリーグ(U-18)関東1部で敗れている桐光学園に雪辱。07年、08年を連覇するなど全国総体での圧倒的な強さを示してきた名門は「何とか藤橋を決勝に出してやろう」という誓い通りに勝ち、頂点へ王手を懸けた。

 この日の市立船橋は藤橋不在のボランチの位置にユーティリティープレーヤーの河崎を先発起用。豊富な運動量を持つ河崎と今瀬淳也のダブルボランチが、空中戦で強さを見せるCB平尾優頼主将らの跳ね返したセカンドボールを拾い、試合の流れを呼び込む。ただアタッキングサードへボールが入ってからのコンビネーションに優れる桐光学園は、そこから素早くサイドへ展開。右MF高溝竜稀のクロスにMF管能将也が飛び込むなど決定機をつくった。ただし、特に後半はボールを支配していたものの、ゴール前での積極性とラストパスの精度を欠きリードを奪うことができない。
 一方の市立船橋もパワーと技術を兼ね備えた福森晃斗と高橋将吾の相手CBコンビを突破できず苦しんだ。後半6分には今瀬の右足FKがクロスバーを叩いたほか、遠目の位置からでも思い切ってシュートを狙っていったが、相手のミスを除くとなかなか守備ブロックのなかへ入ることができなかった。

 ともに決め手を欠いたまま時間が経過した関東対決。勝敗を分けたのはセットプレーだった。後半32分、市立船橋は途中出場のMF菅野将輝がゴールからやや離れた位置へ左CK。桐光学園の名手、GK峯達也が飛び出すがクリアしきれず、そのこぼれ球を和泉が左足でゴールへと叩き込んだ。ヒーローは「プリンスリーグで1点も取れずに負けていた。だから点とって勝とうと言っていた」と雪辱ゴールとなる3戦連発弾喜んだ。

 最少得点で勝利し、2年ぶりの全国総体優勝に王手を懸けた市立船橋の石渡靖之監督は「少ないチャンスをものにするイチフナらしい伝統を引き継いでくれた」。堅守が特徴の両チームによる、どちらに転がっても不思議でなかった展開の関東対決を制したのは、より持ち味を発揮した「夏のイチフナ」だった。
 
(取材・文 吉田太郎)
写真協力『高校サッカー年鑑』

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