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[全国総体]父急逝の悲しみ乗り越えた市船橋DF平尾主将涙の日本一

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[8.7 全国高校総体決勝 市立船橋 4-1 滝川二 与那城総合公園陸上競技場]

 優勝インタビューの途中から背番号5のコメントは涙で声になっていなかった。市立船橋の石渡靖之監督は「リーダーシップを発揮してくれた。6月下旬にお父さんが亡くなって、ショックで出られない試合もあった。そういう中で勝ち残って優勝しての涙。重圧もあったと思う」と、父・秋吉さんの急逝という悲しみを乗り越え、チームを優勝へ導いたCB平尾優頼主将(3年)を最大級の褒め言葉で讃えていた。

 187cm、73kgの大型CBは市立船橋の生命線だった。長身を活かしたヘッドの強さを見せるだけでなく、味方のミスをすかさずカバーする判断力の高さもウリ。チームの危険な場面では必ず平尾主将が頭で、足でボールを弾き返した。この日チームは滝川二に18本のシュートを浴びたが、最後まであきらめずにボールを追い、足を伸ばした魂のプレー。これがチームに劇的な勝利をもたらした。
 
 わずか42歳という若さの父を亡くしたショックは大きく、精神的に苦しい時期を過ごしたことは間違いない。ただ「仲間の支えで頑張ることができた」主将はチームの先頭に立って戦い抜き、日本一獲得に貢献。羽田憲司、中澤聡太、増嶋竜也ら伝統的に名CBを輩出してきた“市立船橋の新たな象徴”は「初戦が終わった後に、『優勝します』と宣言してプレッシャーもあったけれど、優勝できた。うれしい」と目を真っ赤に染めながらも、仲間、そして家族のために勝ち取った日本一に誇らしげな表情を浮かべていた。

(取材・文 吉田太郎)

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」

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