beacon

[天皇杯予選]Y.S.C.C、“大人のサッカー”で横浜FMユース下し神奈川決勝進出

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.22 第15回神奈川県サッカー選手権大会・2次トーナメント準決勝 横浜FMユース0-2Y.S.C.C 保土ヶ谷公園サッカー場]

 天皇杯神奈川県代表チームを決定する神奈川県サッカー選手権大会の準決勝が22日行われ、関東社会人リーグ1部のY.S.C.Cが横浜F・マリノスユースを2-0で下し、決勝進出を決めた。

 試合は立ち上がりからY.S.C.C主導の展開となった。幾度もカウンターからチャンスを作り、MF中村竜也(前・流通経済大)らが果敢にPA内へと仕掛けていく。すると前半26分、MF小笹健二(前・神奈川県教員SC)のクロスにファーサイドから飛び込んだFW松田康佑(前・桐蔭横浜大)が頭で合わせて先制。その後、横浜FMユースが徐々に盛りかえし、同37分にはカウンターのチャンスにMF鈴木雄斗とFW伊藤海征がワンツーからゴールを狙うが、これはGKに阻まれた。

 1-0とリードしたY.S.C.Cは後半も試合の流れを離さない。6分にFKのチャンスを得ると、キッカーの中村はこのボールを蹴りこまず、隣にいた松田に流す。これを受けた松田は一度フェイントをかけて壁を揺さぶってから右足を一閃。ゴール右隅へとシュートを叩き込んだ。

 2点ビハインドとなった横浜FMユースはFW松本翔を起点に、果敢に攻撃を仕掛ける。29分には右SB山田融のスルーパスで抜け出た松本がPA右手前から強烈なミドルを狙うが、このシュートは枠外へ。その後もあと一歩ゴールへは届かず、2-0で勝ったY.S.C.Cが決勝へと駒を進めることとなった。

 試合後、敗れた横浜FMユースの松橋力蔵監督は「一人ひとりの強さ、体力的な部分での差が出た」と振り返りながらも、「内容云々にして、思いっきりぶつかりに行けとは言いましたが、よくあれだけ走ったなと思う」と30度という酷暑の中で戦い抜いた選手たちをねぎらった。
 一方、この日2得点を挙げたY.S.C.Cの松田は「すごい暑くて相手も高校生だったので不安だったが少ないチャンスを決めることができて良かった」と喜びのコメント。さらに対戦した横浜FMユースの選手たちを「普段やっている関東リーグのチームより速いし、上手さもあった」と賞賛した。

 高校生チームと社会人チームが公式戦で当たるのは、この天皇杯予選だけ。互いに気を使い合うゲームになるか、ゲームとは別のところで小競り合いに発展してしまう試合がここまで数多く見受けられていたが、この日のY.S.C.Cの戦い方はまさにいい意味での“手本”だった。高校生相手にも全力をみせ、ボディコンタクトで倒れた高校生には、すぐに手を伸ばすなどフェアな戦いを徹底。また、審判への執拗な抗議も見受けられず、“大人のサッカー”で無失点勝利を達成した。

 下のカテゴリーの選手から見て、「あのチームでやりたい」と思われるような社会人チームであることをしっかりと示して見せた。世代を問わず対戦する天皇杯予選の良さが随所にあらわれた好ゲームとなったのも、Y.S.C.Cのしっかりとしたゲームメイクがあったから。それ故、横浜FMユースは胸を借りる形で全力でぶつかりにいけたのだろう。

 決勝の相手は神奈川県社会人リーグ1部のSC相模原だ。関東社会人リーグ1部のY.S.C.Cが格上となるため、松田も「神奈川代表にふさわしいのは、うちだと思ってます」と言い切っている。その決勝は29日、横浜市の保土ヶ谷サッカー場で行われる。

(取材・文 片岡涼)

TOP