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日本vsオーストラリア 試合前日の公式会見要旨

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 アジア杯決勝・オーストラリア戦を翌日に控えた28日、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督、主将のMF長谷部誠(ボルフスブルク)が試合会場のカリファスタジアムで公式記者会見を行った。
以下、会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「ここまで来れたことには非常に満足している。決勝までのたどり着き方も選手をほめたい。厳しい戦いがありながら、1試合1試合チームはまとまって戦ってきた。オーストラリアのことはリスペクトしている。今大会の内容も13得点1失点ということで、いいチームだなという印象を持っている。タイプはうちと違ったチーム。サッカー界では強いチームの形の探求にそれぞれの監督が励んでいるが、決勝に残ったのはまったく違ったタイプのチームということで、勝利の方程式は存在しないのだなと思っている。オーストラリアは経験があり、完成度の高いチームだ。おそらく我々は最も平均年齢の若いチーム。チーム力で勝負することになる」

―決勝までたどり着けた最大の要因は?
「サッカーは1つのクオリティーで勝ち上がれるわけではないので、1つに絞るのは難しいが、頭に浮かぶのは団結力。ベンチからスタートしたメンバーも、ベンチのメンバーも1つになって戦っている。ベンチからスタートした岡崎、細貝、伊野波がゴールを決めているのは、まさにその象徴だと思う。内容も伴って、チャンスもつくれている。ただ、時に継続性を欠き、リードされて逆転しないといけないこともあった。10人になって試合を難しくしたことも課題だ。しかし、このチームは団結力を持ち、チームスピリットもある。このチームの監督になれたことを誇りに思う」

―香川の穴をどう埋めるつもりか?
「香川の離脱はチームにとって非常に残念だが、それ以上に彼のことを思うと残念だ。決勝までの道のりで彼の貢献度は計り知れない。彼自身のコンディションも上がってきていた。ここまで来れたのには彼の貢献があったことをこの場で言わないといけない。彼の代わりに入る選手は私の頭にある。彼のことは今大会中ずっと見てきたし、それまでもJリーグで見てきて、力があるのは分かっている。信頼してピッチに送り込もうと思っている」

―オーストラリアのオジェック監督は日本のことをよく知っているが?
「2度、Jリーグの監督をやっていると聞いている。日本をよく知っている監督だなという印象は持っている。しかし、我々もオーストラリアのことを研究し、オーストラリアのチーム力は分かっているつもりだ」

―大会前の会見で「いいプレーをすることが目標」と話していたが、現時点で何%満足しているか?
「パーセンテージで数値化はできない。このチーム、選手の伸びしろは計り知れないものがある。この大会には経験を積みに来たが、大会を通じて若いチームを成長させられればと思っていた。最終的な目標はW杯に向けてどこまで高められるか、成長させられるか。そのスタイルは、Jリーグでやっているプレーにいくつかの要素を加味して代表のスタイルをつくること。つまり積極的なサッカーをするということだ。厳しい戦いを通じて、戦術、テクニックだけでなく、メンタル面でも強くなった。リードされる展開で逆転し、メンタルの強いチームになった。また、このチームの成長にはJリーグの貢献も大きい。日本サッカーの育成の素晴らしさもある。ユース、高校、大学という育成年代の監督が素晴らしい仕事をしているから。日本サッカーの成長はこれからもまだまだ計り知れないと思っている」

―オーストラリアの選手は「日本はオーストラリアのことを恐れている」と話しているが?
「その質問は私でなく、キャプテンの長谷部に聞いた方が本当のところを聞けるのではないかと思うが、私の見解としては、そうは思っていない。日本代表の監督に就任したときから、日本は中東のチームや韓国を苦手にしていると聞いていたが、この大会にそんな傾向はなかった。次もないなと思っている。相手のことはリスペクトしなければならないが、怖がってはいけないとも選手には話している。選手もそのように考えてくれていると思う」

―クラブチームのマネジメントとの違いで戸惑いは?
「これまでのイタリアという難しいリーグでやってきた経験が役に立っているし、欧州CLの経験も役に立っている。欧州CLも短い期間の大会と位置付けられる。そこで分かったのは、そのときにいい状態で臨まないといけないということ。確かに大会前に満足いくキャンプ、クラブでいうところのプレシーズンを送れず、戦術やテクニック、チーム哲学を植え付けることができなかった。しかし、これまでの監督のキャリアがあったから落ち着いてできたと思うし、私の培ってきた経験はチームにも伝わったのではないかと思っている」

―決勝で気を付けなければならないことは?
「これまで通り、バランスを重視する。決勝になれば、選手の気持ちは否応にも入る。気持ちが強すぎるのはいい方向にいくとは限らない。強すぎる傾向にならず、できることをやってほしいという意味でのバランスを重視する」

―監督のキャリアでこの大会の持つ意味は?
「監督の仕事に経験は必要で、日本代表の監督はこれまでとまったく違う種類の経験だ。これも1つのいい経験だし、自分の中で財産として持っていたいと思っている。監督の経験に限りはない。1つのいい経験としてとらえたい」

●MF長谷部誠(ボルフスブルク)
「決勝まで来れたこと、決勝でオーストラリアという素晴らしいチームと対戦できてうれしく思う。明日の試合は日本らしいサッカー、自分たちらしいサッカーをして、勝ちたいと思います」

―オーストラリアの監督はオジェック監督だが?
「浦和時代は良好な関係を築いていたし、彼のことはリスペクトしている。ただ、明日は敵になるし、そういうことは関係ないと思っている。浦和時代とは変わったこと、日本サッカーが変わったことを見せたい」

―2022年のW杯招致で日本が敗れたカタールで決勝まで勝ち残ったが?
「カタールでアジア杯を戦ってみて、ピッチも素晴らしいし、環境的にも素晴らしいところだなと思っている。2022年は11年後。また選手として戻ってこれるように頑張ります(笑)」

[写真]公式会見に臨むザッケローニ監督とMF長谷部誠

(取材・文 西山紘平)

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