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J2甲府が史上初の天皇杯決勝へ!! 宮崎純真が裏抜け決勝弾、鹿島は6年連続国内無冠決定

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FW宮崎純真が決勝ゴール

[10.5 天皇杯準決勝 甲府1-0鹿島 カシマ]

 第102回天皇杯は5日、茨城県立カシマサッカースタジアムで準決勝を行い、J2のヴァンフォーレ甲府がJ1の鹿島アントラーズを1-0で破った。前半にワンチャンスからFW宮崎純真が決勝ゴール。甲府は史上初の決勝進出で、J2勢としても2014年の山形以来の快挙。鹿島は6年連続の国内タイトル無冠が決まった。

 試合は立ち上がりから鹿島が主導権を握り、長短のパスを使いながら押し込む展開。だが、フィニッシュの形をなかなか作れず。一方の甲府もボールを回収したあと、前線に蹴って奪われるという形が何度も続いた。また前半8分ごろには審判団の無線システムに不具合が発生。約5分間にわたって試合が中断し、落ち着かない雰囲気が漂った。

 それでも風上の甲府は前半21分、右サイドでのカウンターからボールを前進させ、左サイドに展開。MF長谷川元希のスルーパスにFW三平和司が抜け出し、冷静なシュートでネットを揺らす。だが、これはオフサイドの判定。ようやく訪れたファーストチャンスは活かせなかった。

 鹿島は前半23分、MFアルトゥール・カイキのワンタッチパスにペナルティエリア右に抜け出したFW鈴木優磨がハーフボレーで叩きつけたが、惜しくも枠外。同28分にも鈴木がカウンターから抜け出すも、カットインからの左足シュートは枠を捉えられず、同32分には高い位置でボールを奪ったA・カイキの右足シュート右上に外れた。

 甲府は前半34分、中央で縦パスのスイッチを入れ、三平、長谷川がつないで右に展開すると、DF関口正大がドリブルで攻め上がり、ペナルティエリア外で待っていた長谷川にパス。しかし、長谷川のシュートもゴールの右上に外れる。

 ところが前半37分、甲府が先に試合を動かした。自陣でのビルドアップで鹿島のプレッシングを誘い込み、DF浦上仁騎が最終ラインの背後へのロングパスを選択。追い風に乗ったボールに反応したのは宮崎。DF関川郁万を振り切ってフリーでゴール前に抜け出すと、最後はGKクォン・スンテをかわし、落ち着いてゴールマウスに流し込んだ。

 ホームでJ2クラブ相手にまさかの失点を喫した鹿島。前半40分、前線で競り合ったボールを拾った鈴木が力強いボレーで狙うも、またしても枠を外れ、頼みのエースがなかなか結果を出せない。そのまま6分間のアディショナルタイムも終わり、甲府の1点リードでハーフタイムを迎えた。

 鹿島は後半開始時、なかなか良さの出し切れなかったFW土居聖真とMF名古新太郎に代わってFWエヴェラウドとMF仲間隼斗を投入。風雨がますます強くなっていく中、そこからは相手のサイド裏へのロングフィードや、深い位置からのクロスを主体に風上を活用した反撃を狙った。

 それでも5バックで守る甲府の最終ラインをなかなか崩せず、後半18分にはMF樋口雄太の右CKにA・カイキが頭で合わせたが、枠を捉えられない。さらに同23分、右に開いた鈴木のクロスにA・カイキが反応するも、ヘディングシュートはGK河田晃兵がファインセーブ。後半の半分が過ぎていった。

 なんとか守る甲府は後半29分、三平とMF荒木翔を下げてFWウィリアン・リラとMF野澤陸を投入。前線の攻撃起点と運動量を同時に加える。対する鹿島は同31分、A・カイキを下げてMF松村優太を入れた。同32分、左サイドでこぼれ球を拾った鈴木が積極的に狙うも、これもゴールの左に大きく外れる。

 そのまま時間が経過し、残り10分間。鹿島サポーターから「奇跡を起こせ」のチャントが歌われる中、鹿島はセットプレーを起点としたロングボール攻撃から混戦を制し、仲間がゴールをこじ開ける。だが、これはオフサイド。最後は甲府がゆっくりと時間を進め、試合はそのままタイムアップ。甲府がJ1の鹿島を下し、史上初の決勝進出を果たした。

(取材・文 竹内達也)
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