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“新東京ダービー”は町田が制す! J2昇格問題で苦しむ中、東京Vを撃破!!

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[9.5 天皇杯2回戦 町田1-0東京V 西が丘]

 天皇杯2回戦が5日に各地で行われ、東京・西が丘サッカー場ではJFLのFC町田ゼルビアとJ2の東京ヴェルディが激突した。“新東京ダービー”としてだけでなく、東京V側は14歳MF高木大輔がJリーグ発足後では史上最年少ベンチ入りし、兄の19歳MF高木俊幸、17歳MF高木善朗とともに、こちらもJ発足史上初となる3兄弟が同時ベンチ入りを果たして注目を集めた。

 試合はFC町田ゼルビアが、後半28分に途中出場のFW山腰泰博(神奈川大)が決勝点を決めて1-0勝利。3回戦に駒を進めた。

 FC町田ゼルビアは元日本代表で、鹿島で活躍した相馬直樹監督が率いるチーム。システムは4-4-2でGKは修行智仁(ガイナーレ鳥取)、DFラインは右から藤田泰成(徳島、東京V、F東京)、深津康太(岐阜)、斉藤広野(横河武蔵野FC)、津田和樹(甲府)。中盤はボランチが太田康介(横河武蔵野FC)と柳崎祥兵(駒大)、2列目は右に星大輔(栃木、F東京)、左に小川巧(帝京大)が入った。2トップは奨・津季桐蔭横浜大)と木島良輔(熊本、東京V、横浜FM)が組んだ。

 東京VはJリーグ時と同様、4-4-2を採用。GKは土肥洋一、DFラインは右から福田健介、高橋祥平、菅原智、吉田正樹。中盤はボランチが佐伯直哉と柴崎晃誠、2列目は右が阿部拓馬、左が飯尾一慶だった。2トップは河野広貴と平本一樹が組んだ。

 立ち上がりからFC町田ゼルビアが豊富な運動量を発揮して、東京Vを押し込む。技術的に優位に立っているわけではないが、球際が強く奪ってからの速い攻撃を繰り返した。前半3分、町田は右から攻め込み中央へ。奨瑤陵遒靴・藝埜紊和静弔・限④妊轡紂璽函GK土肥は触れず、ゴール右に突き刺さるかと思われたが、ライン上で菅原にヘディングでクリアされ、ゴールは決まらなかった。

 その後も町田が執拗なプレスで東京Vを戸惑わせた。それでも東京Vは河野の突破、平本のキープ力を活かして巻き返しを狙う。だが、町田のほうが運動量が多く、最終ラインで防がれてしまう。何度かカウンターを食らうが、町田はバイタルエリアの崩しに工夫が少なく、東京Vの守備が破綻することはなかった。

 東京Vは前半32分、絶好機を迎えた。右サイドからのFK。河野のキックをファーサイドで平本がヘディングシュート! しかし、これはわずかに右に外れた。その直後の37分、東京Vに悪夢が訪れる。河野が突破の際にひじを使って相手を倒し、一発レッドカードで退場となってしまった。とはいえ、前半は試合が動かず0-0で折り返した。

 後半、東京Vは開始から吉田に代えてMF高木善朗を、阿部に代えてMF高木俊幸を送り出し、流れを変えようとした。しかし、一人少ない中では、格下相手といえどもなか主導権は奪えない。そんな中、町田はフレッシュな選手を入れて点を狙いに行く。後半15分、小川に代えてFW山腰泰博(神奈川大)を投入。さらに同23分には星に代えてMF鈴木崇文(AC長野パルセイロ)を入れた。これが当たった。

 後半28分、町田は右サイドを攻略して二アサイドへ入れる。一度はクリアされたが、こぼれ球を柳崎が再び中へ入れ、山腰が反応して右足でシュートし、大きな先制点を奪った。この日、町田は施設面の不備などがJリーグに指摘され、来季のJ2昇格が認められなかったと発表されたが、大勢のサポーターが応援に駆けつけた。選手たちはゴール裏に走り、寄り喜びを分かち合った。

 すぐさま、東京Vは何とか巻き返そうと3枚目のカードを切る。後半32分、左膝を痛めていた高木俊幸に代えてFW井上平を投入。J組の意地を見せるべく、1点を狙いに行った。井上の投入で少し流れが上向く。起点にもなれるし、スペースへ入る動きがうまいストライカーが、DFラインを脅かした。

 町田は後半40分、フル回転で疲れが見えていた木島に代えてMF酒井良(草津)を投入。何とか逃げ切ろうと策を施した。東京Vは一人少ない中でも同点にしようと戦い続ける。しかし、町田の運動量、集中力は最後まで切れない。試合は終盤、激しさを増していったが、1-0でFC町田ゼルビアが勝利。“新東京ダービー”を制して、JFLでの戦いに弾みをつけた。

(取材・文 近藤安弘)

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