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J発足史上初! 14歳MF高木大輔がベンチ入り&高木3兄弟が同時ベンチ入りの快挙

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[9.5 天皇杯2回戦 町田1-0東京V 西が丘]

 東京ヴェルディは“新東京ダービー”で格下のFC町田ゼルビアに敗れる不覚を取った。前半37分にFW河野広貴が一発退場。数的不利になり、後半28分に失点。相手の運動量と気迫に押されて巻き返せず、これで6大会連続で初戦で敗退となってしまった。

 しかし、新星がまた現れた。元プロ野球・大洋の高木豊氏の三男で、14歳MF高木大輔がベンチ入りを果たした。14歳326日でのベンチ入りで、Jリーグ発足後では史上最年少となった。リーグ戦と天皇杯では意味合いが大きく違うが、15歳でJデビューしたあの森本貴幸を上回る。また長男のMF高木俊幸、次男のMF高木善朗もベンチ入り。3兄弟が同時にベンチ入りするのも、Jリーグ発足史上初の快挙となった。

 大輔は「きのうの練習の終わりにベンチ入りを言われました。金曜の練習から、可能性はあるかなと思っていた。いいモチベーションになっていた」と心の準備はできていたという。出番こそなかったが、「近くで見て、ぜんぜん迫力が違った。ジュニアユースの選手にも、伝えられたらと思う。みんながトップを意識していけると思うので」と早くも“伝道師”になることを明かした。

 間近で見たことで、改めて向上心が強くなり、また2人の兄の凄さも感じた。「もっと自分ができれば、ああいう試合展開でも使ってもらえたと思う。もっと努力したい。真ん中の兄貴は、最後までボールを追ってたし、ゴールに向かってプレーしていた。上の兄貴は、怪我してたみたいだけど、それを出さないプレーをしていた。見習わないといけない」と大輔は表情を引き締めた。

 兄たちは弟を気遣っていた。長男の俊幸は、大輔のベンチ入りに「監督は思い切ったなたと思いました。でも、監督が見てくれていたということ」と感想を述べた。そして「できれば、一番下が出られるような試合展開にしたかった。まだリーグもあるし、3人が出て、持ち味を出せれば」と今後、3人で同時にピッチに立つことを夢見た。

 次男の善朗は「朝、3人で(トップ合流に)出かけてて、なんか変な感じでしたね。大輔も入ったんだなと。弟が出て点を取ったらどうしようかなと思ってました」と冗談を言いながらも、「弟が初のベンチ入りの試合で、苦い試合をしてしまって、申し訳ないです。トップの試合で、何かを感じてもらえたらいいと思う。プロのベンチというのは、ぼくもそうでしたが、空気が違うんで。いくら中学生といっても、試合になれば、選手として出たいという気持ちになるはずなんで。そういうのが味わえたのは大きい」と兄らしいコメントを残した。

 「このベンチ入りで、自分自身に自信がつきました。この自信を胸に、やっていきたい」

 大輔はさらなる向上心をのぞかせた。14歳、中学生とは思えないはっきりとした受け答えで、サッカーへの思いを吐露した。兄に追いついて、追い越してみせる。いや、3人で切磋琢磨してサッカー界を盛り上げる選手になりたい。その前に、まずは3兄弟そろってJリーグのピッチに立つ-。“緑のワンダーボーイ”たちは、限りなく広がる夢を見据えて、これからもボールを追い続ける。

(取材・文 近藤安弘)

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