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[フットサル欧州選手権]準決勝プレビュー 決勝に進むのは傷だらけの王者か、万全の挑戦者か

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世界最高峰の戦い、準決勝ロシア×スペイン

 準決勝第2試合では、ロシアとスペインが相見える。代表チームに歴史があり、国内リーグの競争力も高い両者はブラジルと共に世界をけん引するフットサル大国だ。近年、両者は大舞台で名勝負を演じている。

 2010年2月にハンガリーで行われた欧州選手権では準々決勝で対戦し、0-0のまま延長戦でも決着はつかず。試合はPK戦へ突入。PK戦でもFPハビ・ロドリゲスの明らかなゴールが誤審により、失敗と判定されるなど物議を呼んだ。スペインは成功したPKを失敗とカウントされながらも、GKルイス・アマドがPKをセーブし、勝利。その後、欧州王者となった。国内リーグが盛んではない国の審判が強豪国のゲームの笛を吹くとどうなるか。フットサル後進国の審判のレベルの低さを露呈したゲームでもあった。

 2012年1月にクロアチアで行われた欧州選手権では決勝で対戦。先制したロシアはスペインに押されながらもゲームを進め、勝利は目前だった。しかし、試合終了残り34秒という土壇場でFPセルヒオ・ロサノに同点ゴールを決められると、延長戦でもセルヒオ・ロサノに逆転ゴールを決められ、結局3-1でスペインが勝利した。フットサルプラネットが毎年主催する世界最優秀選手(フットサルのバロンドール)、2013年に同賞を受賞することになるセルヒオ・ロサノが初めて国際舞台に名を轟かせたゲームとなった。セルヒオ・ロサノはこの大会、決勝まで1ゴールも決められなかったが、決勝の土壇場で2ゴールと大活躍。新たなスターが誕生した決勝だった。

 2012年11月タイで行われたW杯。ロシアとスペインは準々決勝で対峙し、前半に3点を奪ったスペインが3-2で勝利した。ゲーム終盤にはロシアがパワープレーで押し込み、いつ同点になってもおかしくない状況だったが、スペイン代表ゴレイロのファンフォの度重なるファインセーブで、ロシアにゴールを許さずに、1点のリードを守り切っている。  そして今大会、ロシアはスペインに近年の雪辱を晴らすことはできるのだろうか。ロシアはここまで、順調に駒を進めている。ポルトガルとの一戦は4-4のドローに終わったが、ゲームをコントロールしていたのはロシアだった。またポルトガルのゲームではFPエデル・リマ(写真)と共に攻撃の軸である左利きのピヴォ、FPシリロを欠いていた。各選手のコンディションもよくロシアは最高の状態で準決勝を迎える。

 一方のスペインは初戦でクロアチアと引き分けるなど圧倒的な強さを見せて、勝ち上がってきたわけではない。キャプテンのトーラスが戦線離脱し、ミゲリンやリンといった攻撃にアクセントを付けることができる選手も万全ではない。さらにロシア戦ではフィクソのオルティスが出場停止。万全ではない状態だが、世界制覇2回、欧州選手権4連覇と赤いユニフォームに息づく勝者のスピリットがある。ベンチにはベナンシオ監督という世界最高の戦略家もいる。満身創痍とはいえ、スペインがあっさりロシアに決勝への道を譲るはずがない。

ポルトガルが苦手のイタリアを克服できるか?

 ポルトガルはイタリアに何度も苦汁を飲まされてきた。2012年の欧州選手権では準々決勝でイタリアに敗れ、早々と敗退。2012年のワールドカップでも準々決勝でイタリアに敗れている。

 ポルトガルが国際大会で優勝できるチャンスは今回を逃してしまうとしばらく訪れないかもしれない。FPリカルジーニョは28歳だが、彼と共にこれまでポルトガル代表を支えていたペドロ・コスタ、ゴンサロ、アルナルド、ジョアン・ベネディート、ジョエルといった面々はすでに30代半ばに差し掛かっている。年齢を考えるとポルトガルの黄金世代は今大会が最後の見せ場となるだろう。2014年コロンビアで開催されるワールドカップでポルトガルが世代交代に苦しむことは容易に想像がつく。黄金世代最後の大会でポルトガルは初めて国際タイトルを手にすることできるだろうか。まずは準決勝で苦手とするイタリアを攻略しなければならない。

 準決勝2試合は2月6日に行われる

■以下、準決勝組み合わせ
ポルトガル×イタリア
ロシア×スペイン

(取材・文 座間健司)
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1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。"2011年フットサルマガジンピヴォ!"休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

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