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[MOM676]佐賀商FW江口裕之(3年)_帰ってきたストライカーがV導く2発!

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[11.10 全国高校選手権佐賀県大会決勝 佐賀東2-3佐賀商 ベアスタ]

 帰って来たストライカーが絶体絶命のピンチからチームを救った。佐賀商はCB野方智文をFWで先発させる奇策に打って出たが、先制を許す形となり、すぐさま陣形を戻した。左MFで先発した江口裕之は、DFに戻った野方と代わる形で前線に入ると、182cmの恵まれた体躯で前線に起点を作り、少しずつチームに攻撃のリズムをもたらした。

 チームは後半開始から間もなく2点目を奪われる苦しい展開を強いられたが、江口の働きがその流れをひっくり返した。後半7分、左サイドからクロスが上がると高い打点のヘディングシュートを突き刺して反撃の狼煙を上げた。さらに後半29分、FKでゴール前に送られたロングパスを相手GKがファンブルすると、これを見逃さずに左足でゴールへねじ込み、チームに勇気を与える同点弾とした。

 その後も前線で体を張りながらフィニッシュにも絡む積極性を見せ、パワープレーでも相手の脅威になり続けた。チームは延長後半3分にFW山﨑一帆のゴールで逆転に成功。9年ぶりとなる全国大会出場を決めた。

 江口は、前線のポストプレーが光った。「落とす、ためる」ばかりでなく、追い越してくる味方のスピードを生かして背面パスを流すなど、滑らかなプレーも見せた。2得点で逆転劇の立役者となった江口は「(リードされても)いつかチャンスが来る、と仲間を信じてプレーしていた。決めることができて嬉しい。1点目は良いボールが上がって来たので触るだけだった。2点目はまさかボールが自分のところに来るとは思っていなかったけど、落ち着いて決めることができた」と少し興奮を抑えるように話した。

 1年時から実力を買われていたが、昨年夏に腰を痛めて戦線離脱を余儀なくされた。しかし、雌伏の時を経て、ストライカーは目覚めた。「(試合に出られず)悔しかったけど、チームのことを考えてできることをやろうと思い、リハビリに取り組んできた。練習の後などには仲間と『得点王を狙う』という話もしていたので、点が取れて嬉しかった。全国大会出場は夢にも思っていなかったので、実感が沸かない。でもFWなので得点王は狙っていきたい」。苦しい時期を乗り越えた大型FWは、このまま勢いよく全国大会に乗り込む構えだ。

(取材・文 平野貴也)
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