beacon

[選手権]市船の夏冬連覇を阻止!!前回準V・京都橘が2年連続の国立切符

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.5 全国高校選手権準々決勝 市立船橋0-2京都橘 駒沢]

 第92回全国高校サッカー選手権は5日、準々決勝を行い、駒沢陸上競技場の第2試合では前回大会準優勝の京都橘(京都)が夏の全国高校総体王者である市立船橋(千葉)を2-0で下し、2大会連続の4強入りを決めた。東京・国立競技場で行われる11日の準決勝では星稜(石川)と対戦する。

 立ち上がりから市立船橋が相手陣内へ果敢に攻め込むが、京都橘の守備陣も落ち着いて対応。逆にカウンターから好機をつくり出し、前半11分にはMF中山俊輝(3年)がFW小屋松知哉主将(3年、名古屋グランパス内定)とのワンツーから左足でシュートを狙った。同17分には相手陣内でボールを奪った小屋松がそのままドリブルで持ち込み、右足で強烈なミドルシュートを放つが、GK志村滉(2年)がセーブした。

 何度となく相手ゴール前まで迫る市立船橋だが、ラストパスがかみ合わず、なかなかいい形でフィニッシュに持ち込めない。前半29分にはFW石田雅俊(3年、京都サンガF.C.内定)のボールキープから左サイドに展開。オーバーラップしてきたDF山之内裕太(3年)が縦に仕掛け、クロスボールに石田が飛び込んだが、ヘディングシュートはミートし切れず。京都橘は同35分にも速攻から小屋松がドリブルを仕掛け、左サイドから個人技で切れ込むと、マイナスの折り返しにMF藤村洋太(3年)が合わせたが、志村のビッグセーブに阻まれた。

 0-0で折り返した後半も、攻める市船とカウンターを狙う京都橘という構図が続いた。すると後半5分、やはり速攻で相手ゴール前へ攻め込んだ京都橘が一度はボールを失いながらも連続したハイプレスで奪い返し、MF中野克哉(2年)から小屋松にボールが渡る。PA内左へ切れ込んだ小屋松は縦に仕掛けてDF柴戸海(3年)を振り切り、左足を一閃。豪快にゴールネットを揺らし、2戦連発となる先制点を奪った。

 1点を追う展開となった市立船橋はさらに攻勢を強めるが、京都橘はGK永井建成(3年、ロアッソ熊本内定)を中心に体を張ったディフェンスで粘り強く跳ね返す。前がかりになる相手に対し、よりカウンターは鋭さを増し、後半26分には藤村のスルーパスに抜け出した小屋松がPA内左から右足で流し込み、自身2得点目となる追加点。エースが抜群の決定力を発揮し、2-0とリードを広げた。

 追い込まれた夏の王者は後半29分、右SB篠原良介(3年)に代えてFW田山栄次(3年)を最前線に投入。ボランチのMF打越大樹(2年)を最終ラインに下げ、打越が3バックの中央に入る3-6-1にシステムを変更した。必死の反撃に出る市立船橋だが、後半31分、山之内の左クロスに合わせた田山のヘディングシュートはゴール右へ。同36分にはMF成田悠冴(3年)の縦パスを受けたMF室伏航(3年)がPA手前から右足で狙うが、わずかに枠を捉え切れない。「前に人数をかけて、攻撃に厚みを加えたかった」と3バックの狙いを語った朝岡隆蔵監督だが、「奇策でしかなかった」と、得点に結びつけることはできず、夏冬連覇の夢は準々決勝で途絶えた。

 市船の攻撃を80分間無失点に抑えた京都橘の米澤一成監督は「相手の攻撃力は分かっていたし、守備から攻撃への切り替えの速さと精度がテーマだと思っていた。ボールを持たれても、ゲームをコントロールすることを強調していた。どういう風にボールを奪うか、ミーティングでやったことを実践してくれた」と振り返る。押し込まれながらも決定機はほとんどつくらせず、逆に高い位置でボールを奪ってはショートカウンターにつなげた。前線からのプレスと速攻に転じた際のスピードとテクニックで脅威になり続けた小屋松は「スカウティングでも出ていたし、実際にやってみても取りどころが見つかった。そこは狙おうと思っていた」と胸を張る。

 2大会連続で国立への切符を手にした。米澤監督は「どうしても行きたかったというのが正直なところ。またあのステージでやれるということで、選手に感謝したい」と素直に喜ぶ。一方、市立船橋の朝岡監督は「取るべき選手が取るチームが勝つ」と、京都橘のエース小屋松に賛辞を送った。「もう一歩のところでゴールが生まれなかった。もぎ取る力がなかった。そこがすべて」。戦後最多タイとなる6度目の優勝を目指した夏の王者がベスト8で散った。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2013

TOP