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[選手権予選]「自分たちの代で全国に行く」。3年ぶりの全国を目指す松山工が大量得点で準決勝へ :愛媛

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[10.24 全国高校選手権愛媛県予選準々決勝 松山工高 9-1 新居浜西高 新居浜グリーンフィールド]

 第94回全国高校サッカー選手権愛媛県予選は24日、準々決勝を行った。3年ぶり4度目の選手権を目指す松山工高と新居浜西高の一戦は、前半16分にマークしたFW野川稀生のゴールを皮切りに大量得点を奪った松山工が9-1で勝利。31日の準決勝では松山北高と対戦する。

「トーナメント特有の一発勝負という緊張感があり、難しい試合になった」。松山工の坂本哲也監督がそう振り返ったように、試合序盤は緊張から選手たちの動きは硬め。相手の出方を伺いながら、慎重に試合に入ったことも相まって、押し気味で展開しながらも簡単にはゴールが奪えない時間が続いた。それでも、8分には右のDF兵頭俊昭がクロスを入れると、こぼれ球をMF吉村泰成がシュート。ゴール前に転がったボールをFW徳永吉晟が押し込んだが、GK鈴木貫太の好セーブに阻まれた。

 次第にテンポの良いパス回しと、積極的な飛び出しで相手守備の綻びを生み、16分にはMF吉村がPAに抜け出した所を倒されてPKを獲得すると、野川が決めて先制に成功した。続く18分にも、中央の野川からPA左のFW徳永吉晟にスルーパスが渡ると、フォローに入ったMF日野貴登がゴール前にクロス。野川が頭で叩き込み、スコアは2点差に。27分には左CKからDF筑波柊がヘディング弾、39分には連係からMF越智楓岳がゴールを決めて、ハーフタイムを迎えた。

 前半のうちに4点差をつけて、試合の大勢を決めた松山工だったが、後半も気を緩めず。6分に野川のパスから、越智がゴールネットを揺らすと、12分にも左サイドでのボール回しから日野が加点した。25分にはシュートミス後に、左サイドを突かれ、FW小島偉央に得点を許したが、以降は「色んな選手がチームのコンセプトを対応してほしい」(坂本監督)という狙い通り、ピッチに送り出されたサブ組が次々に活躍。特に「本来ならばスタメンに入ってもおかしくない選手」と指揮官が評するFW大木秀仁が2得点1アシストと大暴れ。1年生FWの石井隆之介もゴールを奪ってアピールに成功し、最終スコアは9-1となった。

 今後に弾みがつくゴールラッシュで試合を終えたが、「相手のシュートをゼロで抑えようと思っていたのに、前後半に1本ずつ打たれてしまった」(兵頭)、「攻撃に重点を置きすぎて、守備がおろそかになっていた。失点はもったいない」(筑波)と口にしたように、試合後に選手からこぼれたのは、大量得点よりも守備の反省ばかり。坂本監督が「続けて2つミスをすると、失点になることが分かったと思う。今日の1失点は痛いけど、チームにとって勉強になった」と前を向いたように、次戦以降の糧にできるかが全国行きを左右する。

 チームは12年に県3冠を達成したものの、以降は下降線を描き、一昨年の選手権予選は2回戦で敗退。昨年も準決勝で松山北に敗れるなど全国の舞台から遠ざかっている。今年の総体予選も決勝で敗れ、全国切符は掴めず。夏休みには、県外遠征を控えて、ボールの扱い方、1対1の対応、走力、球際の強さなど基礎を徹底練習することで自らの見直しを図ったという。成果はてき面に表れ、「走りを練習することで、メンタル的に強くなれたと思うし、タッチの練習を基礎からしたことで、ボール回しがスムーズになった」(筑波)。

 兵頭が「僕らが入る前までは強かったのに、入ってからは低迷している。自分たちの代では全国に行くぞという想いは強い」と意気込むように、勝ったからといって、まだ満足はしていない。愛媛の頂点に立ち、強い松山工を取り戻すまでは気が抜けない戦いが続く。

(取材・文 森田将義)
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